女性スポンシーの場合だけ生まれる「妙な勘繰り」

 「リーダーになる男性の多くはスポンサーの存在を自覚しています。『Aさんに引き上げてもらった』ことをネガティブに捉えることなく、能力と人間性への信頼に基づいて、自然に行われています。現時点でリーダーになっている女性の多くも支援者の存在があったはずです。

 では制度として機能するのかといえば、今のところとても難しいと言わざるを得ないと考えています」

 石原さんが考える、日本企業でスポンサーシップ制度の導入が難しい理由は大きく3つ。1つ目に具体的な支援のためには、「この人に高い能力がある」「この人を引き上げることは会社の利益になる」と確信する必要がある。直接仕事を一緒にした部下なら仕事ぶりは分かるが、割り当てられた「担当スポンシー」の能力や人柄が分からなければ、積極的な介入につながらない。

 2つ目は、女性の活躍や昇進・昇格に対する企業内文化が未成熟なため、「A常務に気に入られて昇進した女性のBさん」という目で見られてしまう。男性の部下に同じことをしても何も感じないのに、部下が女性だった場合に「妙な勘繰り」が起こってしまう。そのような事態はスポンサー、スポンシー双方にとってリスクになるからだ。

 その「勘繰り」があながち的外れではないケースが起こり得るのが3つ目のポイント。エグゼクティブやシニアマネージャーに、人を引き上げて育てるための最低限のリテラシーと人格があるかどうかのチェックが行われていないのだ。

 海外では当たり前に行われるエグゼクティブになるためのリーダーシップコンピテンシー(優れたリーダーの行動特性)について客観的な評価ができていない企業が多い。万が一ハラスメントが起こったときに無条件でそれを引き起こした人に制裁を与える仕組みがなければ、ハラスメントが起きないことを保証できない。