スポンサーシップ制度にはパイが必要?
では、海外の企業でスポンサーシップ制度が実施できている理由は何か。
「女性リーダーを増やすという経営判断に全体的なコンセンサスがあり、そのためにアファーマティブなアクション(積極的格差是正措置)をすることに合意があるからです。また、エグゼクティブになる人のリーダーシップコンピテンシーが明示されており、外部による査定も行われ、人的資質に一定の担保があります」
日本でスポンサーシップを機能させるには、まずスポンサーが部下の中からスポンシーを選ぶ権限を与えること。さらに、例えば3年間でスポンシーが2階層上がることを目標にするなど、期間限定のチャレンジとして、具体的な目標と期限を与えることが重要だという。
石原さんは最後に、「リーダーに引き上げられるためには『PIE』が必要といわれています。Performance(実績)、Image(イメージ)、Exposure(露出)。多くの女性がExposureやImageの自己演出を苦手としているので、ホットジョブやリーダーシップ研修に女性を必ずアサインすることにコミットすることが大事です。
この努力はやめた途端に逆戻りします。カルチャーが変わるには10年ほどかかるもの。継続した取り組みが必要です」とレクチャーを締めくくった。
その後のグループセッションで「スポンサーシップを実施するためのリーダーの資質」「ビジネス上のチャンスを女性に与えるための施策」について話し合い、積極的な意見交換が行われた。
取材・文/小島潤子(日経xwoman編集部)