グローバルに向けた価値提供のためダイバーシティが不可欠

 同社では長らく、主に日本国内の顧客要求に基づき、良い製品・システムを提供することを目指してきた。国内の市場が成長していた時代には、「日本人・男性正社員中心の、同質な集団」「同じ場所、時間を共有した働き方」でも問題はなかったという。

 しかし、国内市場が縮小していく中で、同社は「グローバルな社会・顧客のニーズを探索し、課題を解決するサービスの提供」へと事業の転換を迫られた。これに伴い、求められる人材像や働き方も、「国籍、性別などが多様で主体的な集団」「場所、時間にとらわれない働き方」へと変化していった

 同社のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進は、2000年代初頭、主に女性社員を対象にした「仕事と家庭の両立支援」から始まった。06年には対象を女性から全社員に広げ、「ダイバーシティ」の重要性を打ち出す。さらに12年には、ダイバーシティ推進を「人事の業務」から「経営戦略」へと格上げし、トップのコミットメントの下、18年からは日立グループ各社でD&Iの目標を設定し、取り組んでいるという。「今後は『事業戦略と一体化したダイバーシティ』という新たなフェーズへの移行を計画している」(相馬さん)

 また2020年4月には、新しい役職としてCDIO(Chief Diversity & Inclusion Officer)を創設し、同社でイタリアカントリーマネージャーを務めたロレーナ・デッラジョヴァンナ氏が就任。「D&I担当の最高責任者が外国人女性であること、またCDIOが女性社員に直接声掛けする機会を設けることで、女性社員のエンパワーメントにつながっている」(相馬さん)

 働き方改革においては、08年のリーマン・ショックで国内製造業最大(当時)の赤字に陥ったことも大きなきっかけだった。働き方を見直す必要に迫られ、テレワーク制度やジョブ型雇用をいち早く導入。こうした取り組みが、コロナ下における共働き子育て層の働きやすさにも寄与している。

 一方、同社の女性社員比率は2割程度とまだ低く、女性管理職比率も6.5%と、課題は残る。同社は「2030年までに役員層における女性比率30%達成」を目標に掲げており、相馬さんは「達成のための5つの柱(具体策)」について説明。さらに、若手の経営リーダー候補を性別・国籍問わず選抜し、中長期でトレーニングしていく同社の育成プランについても言及した。

 参加者からは「男性育休の平均取得日数が300日を超えているというのは驚きだ。一体どんな取り組みをしたのか」と質問が上がった。相馬さんからは「部署によっては、遠慮なく長期間育休を取れる風土ができている。これが効く、というピンポイントの解決策はないが、例えば営業部隊なら、一つのクライアントを複数人で受け持つなど、誰かが休んでも業務が回るような仕組みを整えることが重要ではないか」とアドバイスがあった。

 日経WOMANの「女性が活躍する会社BEST100」と、日経xwoman DUAL「共働き子育てしやすい企業」のランキング解説に加え、それぞれの上位企業の丁寧かつ詳細なプレゼン。とても充実したプログラムとなった。

構成/久保田智美(日経xwoman)