女性社外取締役で失敗するケースとは…
ただし、企業によっては、女性社外取締役の起用でうまくいかないケースも増えているという。例えば「とりあえず女性の社外取締役を1人起用すればいい」「学歴・キャリアが条件と合致していればいい」といった考えの企業だ。
失敗事例としては、「女性だから」と特別扱いをしてしまった結果、女性社外取締役が疎外感・距離感を覚えて取締役会での発言が減少したケース。逆に、企業の経営方針に対して「こうあるべきだ」といった主張をし続けたことで議論が進まなくなったケースもある。こうしたケースを起こさないためには、企業が、女性社外取締役の候補者に対して、事前にどのような役割を期待するのかを明確に伝えることが不可欠という。
過去には、箔を付けるという意味もあり、社外取締役は弁護士、会計士、大学教授のニーズが高かったが、最近の傾向として、事業会社の部長クラス以上の経験者のニーズが高いという。「企業で経験をしてきた人は、事業に寄り添った助言を期待できるため」(鏑木氏)だ。さらにIT、ESG、人事、マーケティング、広報・PRなど何か1つの能力に深い知見をもつ女性が求められているという。
最後に外部人材の活用を通じてダイバーシティを取り入れる企業が増えている現状について、鏑木氏が解説して講演は終了した。
レクチャー後には、参加者から多くの感想が寄せられた。「ダイバーシティの点で、自社でも社外の目をビジネスに生かしていける機会が増えるといい」といった意見や「数合わせのための女性取締役にならないためにも内部登用を推進させたいが、社外取締役のダイバーシティにおける効果について新しい観点を得られたので、社内でディスカッションしたい」といった声が寄せられた。
構成・文/内田久貴(日経xwoman編集部)