「視聴者の変化」もしっかり実感できる

―― アベマプライムは放送中に視聴者からコメントを受け付け、番組内で紹介していますよね。視聴者の声はどのように届いていたんですか?

小川 放送中、卓上に置いてあるタブレット端末の画面に表示されていました。それを見ながら進行を考えたり、コメントを紹介したり……。ときには、「最初はAが正しいと思っていたけれど、やっぱりBかもしれない。番組を見ていたらBの気持ちがわかるようになった」という視聴者の声が届いたこともありました。

コメントをとりあげることで、視聴者の意見が変化していくことを感じることができて、何よりおもしろく、興味深かったですね。それこそ、アベマプライムの真骨頂だと感じました。

「番組が変わっても仕事の本質は変わらない」

―― 反対に、テレビとネット、どちらも同じだと感じたことはありましたか?

小川 番組が変わっても、基本的にアナウンサーの仕事は同じです。情報を分かりやすく伝える、という基本的な役割に加え、スタジオにいる出演者に気持ちよくコメントをしてもらうためにはどうすればいいのかを考え、出演者同士をつなぐ、というのもアナウンサーの仕事です。

また、「視聴者と制作サイドの橋渡し」も大切な役割の一つです。番組を制作するスタッフと視聴者の中間にいる存在として、制作側の意図はどこにあるのかを把握し、一方で見ている人にとって何が利益になるのか、どんな情報に価値を感じてもらえるのかを日々模索していました

例えば、番組で扱うニュースの原稿。ニュース原稿は、基本的に報道記者が書くことがほとんどなのですが、たまに「書き言葉」の原稿のままで、視聴者にとっては分かりづらいこともあるんですよね。そんな時は、「どんな言葉だと耳で聞いただけでより理解してもらえるだろうか?」と想像力を働かせ、スタッフと相談しながら自分なりに工夫して原稿を書き換えるようにしていました。

「視聴者にとってどんな情報が有益なのかを日々模索していました」
「視聴者にとってどんな情報が有益なのかを日々模索していました」