日本は美しい四季の変化に富んだ国。でも、梅雨の季節には「なんだか体調がすぐれない」という悩みを持つ人も多い。そのメカニズムや対策を知って、上手に付き合っていきましょう。
急激な気圧の変化が自律神経の乱れにつながる
天気によってだるかったり、頭が痛くなったり。そんな経験がある人は多いのでは? それは、“気象病”と呼ばれています。「気象病とは、天気の変化で自律神経のバランスが乱れ、自分のもともとの持病があらわれるもの。女性の場合はホルモンバランスの影響が加わるため、男性よりそうした症状を感じやすいといえます。以前は、『気のせい』で片付けられていたことが、最近はSNSを通して、同じタイミングで不調を訴える人がいると知り、『私だけじゃない』と天気との関連を確信したのも、注目されるようになったひとつの理由と考えています」
そう話すのは、気象予報士・健康気象アドバイザーとして活動する小越久美さん。気象病には、自律神経が大きく関わっているといいます。
「人間の体は寒い時には交感神経を働かせ、暑い時には副交感神経を働かせて、体温を一定に保っています。同様に、低気圧が近づいて気圧が変化する時にも、自律神経が体内環境のバランスを取ろうとします。ところが、気温や気圧の変化が急激すぎると、自律神経の働きが追いつかなくなり、不快な症状があらわれる。それが“気象病”のメカニズムです」

気象予報士・健康気象アドバイザー
筑波大学(気象・気候学)卒業。9年間にわたり、テレビの気象キャスターとして活躍した後、健康と気象の関係を伝えるスペシャリストである健康気象アドバイザーとして活動。著書に『低気圧女子の処方せん』(セブン&アイ出版)など
上手に付き合うためには自分のタイプを知ること
いろいろな症状がありますが、女性に特に多いのは頭痛。
「気象病は2つのタイプに分けることができ、私はそれをストレスタイプとおっとりタイプと名付けました。ストレスタイプは交感神経が働きやすく、緊張型頭痛を起こしやすい人。おっとりタイプは副交感神経が働きやすく、片頭痛を起こしやすい人。対処法を間違うと痛みが増すこともあるため、注意が必要です」

気象病とうまく付き合っていくためには、自分の特性を知っておくことが大切だと小越さんは言います。
「まずは、体調と天気を手帳に記録してみてください。それにより、どういう時に痛みが出やすいかが分かってくるはず。2週間先まで天気予報を確認して、それに合わせて自分の体調を予想し、無理なスケジュールを組まないといった工夫をしてみてはどうでしょうか」
そして、自分らしくいるための対処法として、鎮痛薬を利用することもひとつの方法。自分に合わせたケアを取り入れて、天気に振り回されない毎日を過ごしましょう。