世代を超えた人と人との触れ合いを描く感動作『おもいで写眞』が、1月29日に公開されます。東京でメイクアップアーティストになる夢に破れた主人公・結子が、祖母の死を機に故郷の富山へ帰り、町役場で働く幼なじみの依頼でお年寄りの遺影撮影を始める…というストーリー。結子に多くの気づきを与えるソーシャルワーカー・樫井美咲を演じる香里奈さんに、映画に関連するご自身のエピソードや、これまで挫折をどう乗り越えてきたかを伺いました。
自分を奮い立たせたのは「負けん気の強さ」
日経doors編集部(以下、――) 映画では、東京で挫折した主人公が故郷に戻り、新たな夢を追いかけていきます。香里奈さんには、挫折した経験や、それを持ち直した経験はありますか?
香里奈さん(以下、香里奈) 私は芸能活動をモデルからスタートして、翌年に女優の活動も始めたのですが、当時はまだモデルが女優もやるケースが少なかったので、「モデルのくせに」とか「モデルだから演技が下手」といった悪い声もありました。
確かに、当時は演技がすごく下手だったと思うのですが、自分にとってマイナスなことを言われると腹が立つじゃないですか(笑)。悲しく感じることもあるけれど、私はどちらかと言うと「クソー!」って思う方が強いです(笑)。
この負けず嫌いな性格のおかげで、つらいときも気持ちを持ち直せたのかなと思います。

成長できたのはエールのおかげ
―― 映画の中で主人公の結子は、香里奈さん演じる美咲やお年寄りなど、たくさんの人に触れ合う中で成長していきます。香里奈さんには、これまで自分を成長させてくれた人はいましたか?
香里奈 いますね。特定の方というよりは、仕事で出会った先輩、後輩、スタッフなど、関わる人全員が成長させてくれたと思います。
当時、マネージャーやスタッフさんをはじめ、まわりの皆さんが「今の良くなかったんじゃない?」って、ちゃんと注意してくれたんです。中でも一番厳しいのは家族で、まわりは褒めてくれたことに対しても「もうちょっとこうしたら良かったんじゃない?」と、率直な声も聞かせてくれました。
あとは、地元の友達。彼女たちは芸能界に入る前の私も、香里奈という私も両方知っているので、彼女たちの意見から学ぶこともたくさんありました。まわりの適切な意見のおかげで、「これは良いんだ、これは良くないんだ」と知ることができましたね。
―― きちんと言葉で伝えてくれたのは、ありがたかったですね。
香里奈 そうですね。あと、ファンの皆さんからの「頑張って」の一言やファンレターも、成長を後押ししてくれています。
姉と一緒に住んでいた時期もあったのですけれど、姉は私の忙しさを分かっているので、黙ってごみを捨てておいてくれたり、ご飯をつくっておいてくれたりしました。TGC(東京ガールズコレクション)に地元の友達が見に来てくれることもありましたね。言葉にせよ、言葉ではないにせよ、まわりの方々が「いつもちゃんと見ているよ」ってことを伝えてくれたおかげで、安心して成長できたんだと思います。