経験の「引き出し」を増やすには

 キャリアアドバイザーとしての仕事の質を上げるために黒河さんが工夫したのは、仕事以外のコミュニティーを広げることでした。

 「もともと内向的な性格なので、プライベートな時間は気心が知れた人と一緒にいるほうが落ち着くんです。でも、自分の中の経験の『引き出し』を増やすために、あえて安心できるコミュニティーの一歩外へ足を延ばすことを心がけました」

 とはいえ、「人脈づくり」のために開催される異業種交流会などへ頻繁に参加した、というわけでもありませんでした。

 「しばらく会っていない友人を自分から食事に誘ってみる。興味・関心のある事柄があれば、詳しそうな人を友人に紹介してもらう。もともと持っている人とのつながりを今までより大切にする意識を持つだけで、世界が広がる感覚がありました。自分の視野が広くなると、仕事にもだんだん自信が持てるようになっていきましたね」

 約6年間、キャリアアドバイザーとしての経験を積んだ後、自ら希望してサービス企画職に異動。考案するサービスの対象は、転職領域にとどまらず、働く個人全般に関わるものですが、キャリアアドバイザー職を離れたことで感じるようになったある「危機感」が、副業を意識するきっかけになりました。