高校卒業→大学進学がマストだとは思わない

 2019年3月、私は超・充実した高校生活を送り、N高を卒業しました。卒業式では、学校の海外プログラムを積極的に活用したことが評価され、他7名の同級生とともに特別表彰をいただきました。

2019年3月、第1期生と転編入した生徒も合わせた1593人がN高を卒業
2019年3月、第1期生と転編入した生徒も合わせた1593人がN高を卒業

 N高卒業後、私は、ずっとやりたいと思っていた「Baby Tech(ベビーテック)」分野で事業を立ち上げるために、複数の一般企業で働きながら、起業準備を進めています。企業で働くことは、ビジネスマナーやスキルを身に付けることができますし、視野が広がるので、新たな学びも多いです。

 高校を卒業したら、大学へ進学する人が多いと思いますが、私は必要性を感じませんでした。なぜなら、大学は特定の分野について研究する場所だから。私は、ずっと育児や幼児教育、子どもに関することをやりたいと思っていたので、大学で研究活動にいそしむよりも、自分のやりたいことを学びながら、いつでも行動できる環境に身を置きたかったんです。

 「大学は勉強だけじゃなくて、同年代の友人やコミュニティーをつくる場所でもあるよ」と言ってくれた人もいましたが、「それって、大学へ行かなくてもできるよね」と思っています。

 私はN高時代、さまざまな大学のオープンゼミに参加し、そのコミュニティーに入れてもらっていました。そこで同じ年の友人とも出会うことができたし、オープンゼミを離れた後も仲良くしています。

 学校に在籍する方法以外にも、長く付き合える友達はつくれるし、仲間に出会える方法があると分かったので、やっぱり自分のやりたいことを最優先しようと社会に出る道を選びました。

 もう一つ、スタンフォード大学で「学び直し」をしている人にたくさん出会ったことも、大学進学をしなくていいと思った理由です。社会に出て自分に必要なことを知り、改めて学ぶ大人たちの姿を見て、「大学は、いつ行ってもいい。キャリアとキャリアの間で学んでもいいんだ」と感じましたし、それが、大学の本当の価値ではないかと思います。

         
卒業後もN高の仲間とはよく連絡を取り合っているそう
卒業後もN高の仲間とはよく連絡を取り合っているそう

 物理的な拘束を受けながら大学で学ぶのは、今じゃない。ずっと思い描いているBaby Tech事業を実現するために行動することが、今の私にとって最適な選択なのです。

 次回もお楽しみに!

               

構成・文/高橋奈巳(日経doors編集部)写真/冨樫さん提供