思い付きで始めたSNSフレーム

 イギリス在住の友人は、3月26日にイギリス国内で「Clap for Carers (医療・介護従事者に拍手を)」というキャンペーンが行われたことをきっかけに、決まった時間にライトと拍手で感謝を表しているそうです。この話を聞いて、私たちが今、抱いている感謝の気持ちを発信することなら、今の私にもできるかもしれない!と思い出したのが、SNSのフレームでした。SNSのフレームは、自分のプロフィル写真に付け足す機能のことです。

 早速、旧知のクリエーター加島綾乃さんに相談し、自分たちの言葉で伝えることを大切にしようとあれこれ検討を重ねました。そして、「最前線で働く人に感謝」のフレーズと、手書きで温かみのあるデザインが生まれました。

「最初は、私自身のFacebookのフレームに使っただけでした」。バナーは、小嶋さんの「note」ページ(こじみ)の「まとめ:最前線で働く人に感謝」からダウンロードできる
「最初は、私自身のFacebookのフレームに使っただけでした」。バナーは、小嶋さんの「note」ページ(こじみ)の「まとめ:最前線で働く人に感謝」からダウンロードできる

 このフレームをFacebookに載せるとすぐ、親しい友人たちが「私も使いたい!」とたくさんのコメントやメッセージをくれました。

 「胸の中にあった思いをどこかで出したかった、ありがとう」「共感できるメッセージを作ってくれて感謝している」といった声が続々と届き、2人でつくった感謝の気持ちは、また別の感謝を生み出し、人から人へと渡っていきました。

 「時間も余裕もあるのに、何もできていない」という私の無力感は、私の元に届く、共感の声によっていつしか払拭されていました。

 ソーシャルディスタンスを物理的に守っているためでしょうか。新型コロナウイルス感染拡大防止の外出自粛が始まり、SNSでの距離はこれまで以上に縮まっている気がしています。

 「友人たちとこの思いを共有できたら……」という半径3m以内の共感を想定してシェアしたデザインは、みるみるうちに友人からその友人へと広がっていきました。