早朝から深夜まで、やりたい仕事を詰め込む日々
当時の肩書は「ランライフコーディネーター」。この肩書は自分で考えたという。「ランニングって、生活の中にうまく取り入れないと続かないもの。ランニングを取り入れた、心も体も健康的なライフスタイルを送りたいと思う人たちを応援したいと思いました」
そして、徐々に忙しさが増していった。刺激を求める石塚さんは、人脈をどんどん広げ、得た情報をキャリアに生かそうと考えて、毎朝5時に家を出発。東京・新宿にあったカフェでモーニング時間帯に勤務した後、TeamR2のマネージャー業務に当たった。さらに、朝や夜、ジムでランニングのレッスンを持つこともあった。帰宅は夜11時を過ぎることも。「体力には自信があったのですが、私、走り出したら止まれないんです。ある日、ランニングのレッスンが終わってシャワーを浴びていたら倒れそうになって、『あれ、私、疲れているんだ』と思いました」
「あれ? ブレーキが利かない」
それでも、言葉通り、止まることを知らない石塚さん。2016年7月にはトライアスロンの大会に参加することにした。大会前日、仕事でランニングイベントに参加するため、長野県の軽井沢町へ。空き時間を活用して練習しておこうと、ロードバイクをレンタルした。
「最初は順調に山道を走っていましたが、メイン通りから脇道に入った後、誰も通らないような急激な上り坂へ。登り切って行きついた先が行き止まりだったので、仕方なくUターンして、登ってきた坂道を下ることにしました」
急な下り坂で、ロードバイクのスピードは上がっていく。「カチ、カチ――」「あれ、ブレーキの利きが甘い?」。スピードを落とそうと軽くブレーキをかけてもスピードが全く落ちなかった。ロードバイクはどんどんスピードを上げて転がり落ちていく。慌てた石塚さんが全力でブレーキをかけたとき、ロードバイクは急に止まり、その反動で石塚さんは顔面から前の地面に叩きつけられてしまった。