社会や経済が不安定な今、「自分で決めて行動していく力」は人生において必須のスキル。とはいえ、人生の岐路に立ったときに、何を軸にして決断すればいいのか…。そこでこの連載では、各分野で活躍している人たちに「人生を左右した決断」をインタビュー。今回は、大手法律事務所で活躍後、メルカリの上場をリーガル面から支え、現在は急成長中のベンチャー・アンドパッドの執行役員を務める弁護士、岡本杏莉さん(36歳)の「決断」に迫ります。
(上)元メルカリ弁護士の転機 仕事観と人生観を変えた出来事 ←今回はここ
(下)異色の経歴の弁護士が「普通」の呪縛から脱却できた理由

周囲からは「もったいない」と言われた決断
クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD(アンドパッド)」を運営するベンチャー企業・アンドパッドには、異色の経歴を持つ弁護士がいる。同社の執行役員で、法務部長 兼 アライアンス部長を務めている岡本杏莉さん(36歳)だ。
彼女は日本の四大法律事務所の一つ、西村あさひ法律事務所に約4年半在籍し、その後、上場前のメルカリに入社。大手法律事務所を退所し、ベンチャーで働くという選択をした。
こうした選択をする弁護士は、業界の中でも珍しい存在だといわれている。岡本さんも当時を振り返り、「同僚や友人たちからは驚かれ、『せっかく大手にいるのにもったいない』と心配されました」と語る。
なぜ、彼女は日本有数の法律事務所を辞め、ベンチャーで働くことを決めたのか。その決断の裏には、岡本さんの働く意識を変えた、ある出来事があった。