社会や経済が不安定な今、「自分で決めて行動していく力」は人生において必須のスキル。とはいえ、人生の岐路に立ったときに、何を軸にして決断すればいいのか…。そこでこの連載では、各分野で活躍している人たちに「人生を左右した決断」をインタビュー。今回は、大手法律事務所で活躍後、メルカリの上場をリーガル面から支え、現在は急成長中のベンチャー・アンドパッドの執行役員を務める弁護士、岡本杏莉さん(36歳)の「決断」に迫ります。
(上)元メルカリ弁護士の転機 仕事観と人生観を変えた出来事
(下)異色の経歴の弁護士が「普通」の呪縛から脱却できた理由 ←今回はここ

保守的な自分の価値観を変えた留学経験
日本の四大法律事務所の一つ、西村あさひ法律事務所に入所し、米国スタンフォード大学のロースクールに留学した岡本さん。
彼女は留学中に、弁護士業と並行してスタートアップを経営しているロースクールのクラスメートや、課題解決のために情熱を持って働く起業家たちと出会い、働く意識を大きく変えた。
「もともと私には保守的な面があり、弁護士資格を取ったら法律事務所に入り、そこで長く働くことが『普通』だと思っていました。その『普通』の道以外を考えたことがなかったのですが、留学して新しい価値観に触れたことで、『今までとらわれていた考え方に、必ずしも縛られてなくてもいいんじゃないか』と思うようになり、ベンチャー企業で働いてみようと思いました」
ロースクールのクラスメートたちのように、自分もやりがいを持って、スタートアップやベンチャーで働いてみたい。そう思った岡本さんは、転職を決意。帰国後、2015年に入社したのが、上場前のメルカリだった。
「元メルカリ弁護士の転機 仕事観と人生観を変えた出来事」