この連載では、各分野で活躍している人たちに「人生を左右した決断」についてインタビュー。今回は、講談社の週刊漫画雑誌『モーニング』で人気連載中の作品『ハコヅメ ~交番女子の逆襲~』の作者、泰三子(やす・みこ)さんの「決断」に迫ります。
(上)300万部突破のハコヅメ 元警察官が漫画を描いた理由 ←今回はここ
(下)ハコヅメ作者 警察辞め退職金が底をつきパートも考えた
警察官の日常と仕事をコミカルかつリアルに描いて累計300万部を突破した漫画『ハコヅメ ~交番女子の逆襲~』(以下、ハコヅメ)。作者の泰三子さんは、警察官として10年勤務した後に退職し、漫画家に転身した異色の経歴の持ち主です。なぜ漫画を描こうと思ったのか、なぜ警察官を辞めて専業漫画家の道を選んだのか? 担当編集者・田渕さんにも参加してもらいながら、漫画家になった経緯を聞きました。
警察官を目指すきっかけは、母の言葉
編集部(以下、――) 泰さんは元警察官ですよね。まずは、警察官になろうと思った理由を教えてください。
泰三子さん(以下、泰) 事件や事故などの悲しいニュースを目にしたときに、子どもの頃から母に「そういうニュースは自分のことだと思って見なさい」と言われていたんです。だから幼いときはニュースを見るのがつらかったのですが、成長するにつれ、「自分は悲しいニュースをなくす仕事に携わりたい」と思うようになって。高校生のときには、「海外の地雷が埋まっている場所を何とかしたい」と考えたこともあったのですが、英語が話せなかったので、日本で警察官を目指すことにしました。