困難の中立ち上がり、より強いブランドに

 そして3つ目のステップが「Re-emerge(リ・エマージ)」。聞き慣れない言葉かもしれませんが、英語でもう一回立ち直るという意味があります。今の危機的状況から私たちがどう乗り越えて、立ち上がれるかどうか。今、企業がどんなメッセージを発信するかに注目が集まっています。だからこそ、ただ「製品を値引きします」というのではなく、お客様を理解し、共感してもらえるメッセージを届けることを目指しています。それができて初めて、より強い存在になれるはずです。

 SK-IIが目指すのは、人を大切にするブランドであることです。私はシンガポールに住んでいるので、外出自粛の制限が日本よりも厳しい状況にありました。出掛けることが全くできなくなったのです。友人家族ともビデオ会議システムで通話していました。これからも再びこのような状況が起こるかもしれません。そういう状態でブランドはどのように寄り添っていくべきかを考えなければなりません。

SKIIグローバル CEOのサンディープ・セス氏。シンガポール在住で日本より厳しい外出制限を経験。「ブランドについて改めて考えるきっかけになった」
SKIIグローバル CEOのサンディープ・セス氏。シンガポール在住で日本より厳しい外出制限を経験。「ブランドについて改めて考えるきっかけになった」

 ブランドと消費者が双方向のつながりをどう作っていくか。店頭で直接接触するのは難しくなっています。そこでIT技術を活用していきたい。例えばその1つが新しいカウンセリングツール「マジックスキャン」です。前に座ると、肌に触れることなく、肌を分析し、データをもとにカウンセリングするというもの。新たにオンライン上で1対1で肌に関する相談ができる「プライベート ビューティー トーク」も試験的に導入しました。バーチャルではありますが、1対1のこれまで以上に密接な関係が保てるのではと思っています。

 そして次世代のテクノロジーを駆使した接客も検証しています。それがCGブランド大使の「Yumi」です。Yumiは人間のように話すことができ、見た目も人間の女性そっくりです。Yumiには今後オンラインショッピングの手伝いをしてもらうことになっています。今は米国で実験中ですが、いずれ日本での活用も検討しています。