今年の夏に個人事務所を設立し、女優として新たなスタートを切った剛力彩芽さん。2021年1月7日まで公演する舞台『No.9-不滅の旋律-』では、聴力を失いながらも革命的な音楽を次々と生み出した作曲家・ベートーヴェンを支える女性「マリア・シュタイン」を演じています。この舞台に立つ思いや演じることの魅力をはじめ、心と体のメンテナンス法、28歳の女性として感じることなどを聞きました。
(上)剛力彩芽 再演の舞台には2年分の経験が生きている ←今回はここ
(下)剛力彩芽 個人事務所でスタート、服作りにも挑戦

緊張から一転、舞台に立つと「楽しむ」モードに
日経doors編集部(以下、――) 舞台には独特の緊張感があると思うのですが、その緊張感とはどのように向き合っていますか?
剛力彩芽さん(以下、剛力) 実は、私はとても緊張するタイプなんです。今回の舞台の稽古初日には、朝6時前に目が覚めました(笑)。早起きする必要はなかったのに、自然と目が覚めてしまったので、緊張している証拠だと思いました。
本番前の舞台袖では、いつも「どうしよう、どうしよう。おなか痛い」と言っています(笑)。でも、そうして緊張を口にして、外に出しておくと、出番が来たときに「よし、行ってきます!」と腹をくくれるんです。
そして一歩舞台に出ると、今度は「楽しもう!」という気持ちに変化します。私が楽しまないと、舞台を見に来てくださっているお客様にも楽しんでもらえないと思うんです。こうして「緊張」から「楽しむ」モードに切り替わるたびに、「私は本当に舞台が好きなんだな」と感じます。
―― 剛力さんにとって、舞台の魅力は?
剛力 その場でお客様の反応が返ってくるのが面白いですね。「昨日はここで笑いが起きたけれど、今日は違う」というような新鮮な発見が毎回あります。その場にしかないものを、その場で見てもらえる喜びがある。だから、緊張するけど舞台が好きなんです。