13年連続で売り上げを成長させ、国内外で展開を続ける「マザーハウス」。代表取締役でもあり、チーフデザイナーでもある山口絵理子さんは、今、最も注目されている起業家だ。ブランド立ち上げから、自分がやりたいことを手探りでつかんできた13年間。誰かのまねでも、二者択一でも、折衷案でもない道を歩んできた。山口さんはこれを「サードウェイ」と呼ぶ。自分だけのサードウェイはどうやったら見つかるのだろう――doors世代にとって一歩踏み出すヒントを山口さん直筆のメッセージとともに毎回届ける新連載、始まります。

マザーハウスという会社を立ち上げて、13年がたちました。
始まりは、まだ20代だった私が単身バングラデシュに飛び、現地でバッグを作ったこと。
途上国の素材と人の力で、世界に通用するブランドをつくりたい。絶対、つくってみせる――。
そんな夢を理解して応援してくれる人は当時ほとんどいなかったけれど、一歩ずつ進んで、時には後退して、また進んで。今や、生産拠点は6カ国、扱うアイテムもファブリックやジュエリーにまで広げ、会社の規模も国内外600人の仲間が集まる大所帯になりました。おかげさまで売り上げも13期連続で成長しています。
無我夢中で泣きながら走り続けていた時の思いをつづった本『裸でも生きる』(講談社)やドキュメンタリー番組『情熱大陸』で私を知った方からは、よくこう言われます。
「山口さんって、決断の人ですね」
「迷わず行動できる情熱に憧れます」
「揺るぎないビジョンの持ち主」
でもね、ごめんなさい。告白すると……、本当は私、全然そんなことありません。