再び「決断」の時が訪れる
「本当に落ち込みました。結婚後もバリバリ働き続けるつもりでしたから。とはいえ、全く想像できなかったわけではないんです。父が駐在員だったので、私自身ドイツで育ち、駐在員の妻である母を見てきました。閉鎖的な社会だということは知っていたはずなのに、『私なら違う駐在員妻になれる』と過信してしまった。認識の甘さと、過剰な自信が招いた人生最大のミスでした」
結局、現地の求人広告を見て自力で職探しを再開した。「日本語が話せるシンガポール人」の求人に強引に応募してマーケティングスタッフとして働いたり、現地企業の採用で働いてみたり。
シンガポールの暮らしに慣れた頃、今度は夫に中国転勤の話が出た。このときも小安さんは、事前に中国に行って仕事を探し、家庭教師をつけて中国語を猛勉強、上海に2カ月留学して準備をしていた。「でも、ふと自分のこれからの人生について考えたんです。このままでは、海外で自分の力で働きたいという夢は叶えられないのではないか……。散々悩んだ結果、もう一度自分の夢をかなえるために1人で帰国し、駐在中に働いてためた100万円で転職活動をすることにしました」
日本で転職。その後、離婚
日本での仕事は5年ぶり。メディアを作りたいという思いから、33歳でリクルートに再就職した。「せっかく得たチャンス。ここで結果を出さなくては……とがむしゃらに頑張りました」。ただ、あまりに忙しかった。夫が日本に帰国しても、夫婦二人の時間を楽しめるような余裕はなかった。
「結局、離婚することになりました。一般的には『失敗』なのかもしれませんし、多くの方に迷惑と心配をかけましたが、自分のありたい姿としっかり向き合うきっかけにもなりました」