何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで…「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、ヘアメイクアップアーティストのイガリシノブさん(42歳)の失敗図鑑(下編)です。
(上)人気ヘアメイク イガリシノブ よく遊びよく失敗の20代
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一番の失敗は本を出してすぐに産休に入ったこと
「イガリメイク」(ナチュラルで健康的な血色感のあるメイク)の生みの親として、幅広い年代の女性から支持を集めているヘアメイクアップアーティストのイガリシノブさん。「イガリメイク」が大ブレイクした2015年、36歳だったイガリさんは、第1子の産休に入る直前に初の著書を出版した。しかし「今思えば、失敗だった」と話す。
「いくつか出版の依頼をいただき、何社かは出産後に出したほうがいいと勧めてくれたのですが、自分の集大成のつもりで作る本だったので、『今だ』と思ったときに発売したかったんです。それが自分の中では出産前でした。でも、出版後、たくさんの反響をいただいたのに、私は産休に入ってしまい、何もできなかった。本を買ってくれた読者にとっては、これからイガリメイクを始めるところだったのに、本を出しただけで何のサポートもアドバイスもできなかったんです。
以前は、本を出したら、仕事における区切りの1つになると思っていましたが、もしかして自己満足だったのではないかとハッとしました。読者の多くがメイクを実践していると聞いて、『本は出した後が重要』だと気づき、著者としての責任を感じたんです」
1年後、産休を終え現場に復帰したイガリさんは、書籍発売時の反省を生かし、自身のメイクブランド「WHOMEE(フ―ミー)」をスタート。ファンや読者が自分でも簡単にメイクができるよう、イガリメイクらしさを表現できる色や質感、使いやすさにこだわった。
イガリさんは、「WHOMEE」や「イガリメイク」について、「みんなで成長していこう! という思いを込めている」と話す。