失敗したところで失うものなし
―― 14億円の負債というリスクを背負うことに対して、不安はありませんでしたか?
田中 失敗したところで、当時の僕には失うものはありませんでしたから。銀行に取られるような資産もなかったし、養わなければならない家族もいませんでした。自己破産したら融資を受けられなくなりますが、その頃の僕の実績では、どちらにせよ大した金額は借りられませんから。もしうまくいかなかったとしても「何の挑戦もしなかった30歳より、全国約60店舗のチェーン店を経営して、倒産させた30歳のほうがいい」と思ったんです。
―― 踏み出さなければ、失敗も成功も得られないということですよね。でも、リスクが大きすぎて二の足を踏んでしまう人もいると思いますが。
田中 自意識過剰な人が多いのではないでしょうか。成功しなかったときに、周囲から「あの人は失敗した」と言われるのを恐れているのかもしれません。でも、自分が意識しているほど、他人は自分のことを見ていないものです。そんなことを気にして挑戦しないなんて実にくだらない。僕には考えられません。
―― 会社を軌道に乗せるためにどのような方法を取ったのですか?