世界経済フォーラム(WEF)が2019年12月17日に発表した「ジェンダー・ギャップ指数(男女平等指数)」。日本の順位は調査対象153カ国のうち121位とさらに後退し、「過去最低」のスコアとなった。ジェンダー・ギャップ指数とは、経済・政治・教育・健康の4分野14項目のデータを基にして、それぞれの国の男女格差を分析したものだ。女性活躍を政府・企業ともに推進しているはずが、中国・韓国・アラブ首長国連邦(UAE)より下位に位置する日本。各界のリーダー達に意見を聞いた。

自分たちで子どもを世話するのは土日だけ
今回のジェンダー・ギャップ指数では、特に経済と政治の分野における、日本の男女間にあるギャップが改めて明らかになりました。
私は、約15年前にシンガポールで会社設立に携わり、2年間、現地で働いたことがあります。今でも知人・友人がシンガポールにたくさんいて、日常的にコミュニケーションを取っています。その経験を基に、今後の日本での働き方に関して提案してみたいことがあります。
私が約15年前にシンガポールで働いていたとき、私は日本との差に驚きました。
現地で働いている女性は、上司の性別にかかわらず全く物おじせず、時にズバズバ命令口調で話したりしながら、対等に渡り合っていました。子どもがいる女性も、早めに退社して保育所に子どもを迎えに行くわけでもなく、フルタイムで働いていました。出産1カ月前まで働き、産後もすぐ復帰するのは当たり前でした。
シンガポールの共働き子育て世帯では、子どもが小さいうちは、月曜から金曜まで祖父母宅に預けて仕事に集中し、自分たちで世話をするのは土日だけというスタイルを取るケースが多かったのです。そして、これは今もそうです。
シンガポールだけではありません。シンガポールに住む前、香港で働いていた私は、現地の知人(共働き世帯)の家を訪ねたときに、その家庭にはフィリピン人のメイドさんが同居していました。そのメイドさんは朝から夜まで、時には夜中まで、子どもの世話を担っていました。
日本と他国では「家族」に対する考え方・価値観や社会状況は異なります。「子どもを持ちながら、そこまでして仕事に集中する必要はあるのだろうか」と、当時、子どもがいなかった私にはあまり理解できませんでした。でも、9歳の娘を持ちながら働いている今となっては、その働き方や生き方に共感を覚えます。