正社員のコスパ
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1藤本あゆみ 「やりたくない」から開ける道もある
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2柴田菜々子 正社員のコスパは10年先を見て考える←今回はココ
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3経沢香保子 コスパより「信頼貯蓄」を考えよう
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4八代尚宏「正社員はやっぱりコスパが高い。でもね」
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5「今」だけでなく、将来の働き方のコスパも考えて
「踊る広報」――。人材サービス会社ビースタイルの広報、柴田菜々子さんの名刺には、そんな見慣れない肩書が記されています。正社員として働きながら、セミプロのダンサーとして国内外を飛び回る、異色のキャリアを実践する柴田さん。現時点でのコスパは「最高」と語るそのスタイルに、どうやってたどり着いたのでしょうか。
コスパ最悪? 正社員1年で「辞めます」
「ダンスに集中したいです。だから、会社辞めます」――。柴田さんが、直属の上司にそう伝えたのは、入社して2年目のこと。説得する上司の言葉も耳に入らないくらい、思い詰めていました。
静岡県出身の柴田さんは、幼少期に地元の新体操クラブに入ったことがきっかけで、ダンスの世界に関心を持つようになりました。プロを目指すことも視野に、ダンスを専門に学べる学科がある都内の大学へ進学。仲間と「TABATHA」というグループを結成し、大学在学時から活動を続けています。
とはいえ日本では、ダンスだけで生計を立てていくのは難しい実情も。進路に悩み「3カ月だけやってみよう」と決めた就職活動の結果、入社を決めたのがビースタイルでした。
「『平日は正社員、週末はTABATHAでダンス活動』という働き方を実践すると、自分の中で決めて就職したんです。でも、入社当初は仕事に慣れるだけで精一杯。両立はできませんでした。自分の一部ともいえるくらい大切なダンスに、きちんと向き合えない。それは私にとって、致命的なことだったんです」
ビースタイルでの仕事は楽しく、やりがいを感じていたという柴田さん。一方で「大好きなもう一つの仕事」を続けるには、フルタイムの正社員は忙しすぎました。企業への就職を選んだゆえのデメリットは、日に日に大きく感じられるようになっていたのです。