休み方、世界最先端 一流企業が取り入れる「働くと休む」の相乗効果
(上)「脳疲れ」生むマルチタスク 20~30代の対処法は ←今回はここ
(下)1分からできる休息法 マインドフルネス瞑想
疲れには種類がある
働き方改革が進んで、職場の長時間労働は改善されつつある。仕事や家事を効率的に進めるためのツールも増えている。それなのに、慢性的な疲れが取れない――。そんなふうに感じている読者は多いのではないでしょうか。
「激しい運動をしたわけでもないのに、何となく体が重いと感じるのは、体ではなく脳が疲れている可能性が高いです」と語るのは、精神科医であり禅僧でもある川野泰周さん。大学で精神医学を学び、臨床医を経験した後に禅修行を経て実家の禅寺を継承。現在は寺務の傍ら、クリニックなどで診療に携わっています。
脳が疲れるとは、どういうことなのでしょうか。川野さんは、疲れには3つの種類があると説明します。
「デスクワークが中心という読者は多いと思いますが、一日中パソコンの前に座って仕事をしている場合、体はあまり疲れませんよね。もちろん、目が痛くなったり、首や肩が凝ったりすることはあると思いますが、『スポーツをした後に節々が痛む』といったタイプの疲れとは質が異なるはずです」
心身の不調を訴え、川野さんのクリニックを訪れる患者の中でも非常に目立つのが、上図で示した(2)と(3)に当たる「脳の疲れ」だといいます。さらに具体的に言えば、悩みやストレスなどネガティブな感情によって引き起こされる「心の疲れ」と、複数の作業や思考を同時に行うことを強いられて脳に負担がかかる「マルチタスクによる疲れ」です。