まずは自助努力で解決できるところから
当初は、夏が来れば沈静化に向かうかと思われていた新型コロナウイルスだが、ここへきて事態はむしろ悪化している。それに伴い、テレワークを強いられる期間もさらに長引きそうな気配だ。結果、テレワークのメリットばかりだけでなく、さまざまな課題も浮かび上がってきている。
ビジネスソフトを提供するアドビの調査結果によると、テレワーク最大の壁は紙の書類の存在だ。2番目に上がっている「プリンターやスキャナーがない」も紙にまつわる課題と見なしてよいだろう。ペーパーレス化への取り組みが急がれるところだ。
「書類や押印対応が必要でやむなく出社」した人が64.2%という結果もある。東京商工会議所の調査でも、緊急事態宣言前に導入している企業では、60%以上の人が「書類への押印対応」を課題として挙げている。これまで幾度となく指摘されてきたことではあるが、テレワークが現実のものとなって改めてデジタル化の遅れが浮き彫りになった格好だ。
より快適なテレワーク環境の実現を目指して
もちろん、こうした課題は、本来なら企業側が解決すべきことだ。しかし、法律面での整備や全社的なシステムの変更が必要となるなど、すぐには取り組めないことも多い。待ったなしのテレワーク導入では、まずは個人やグループ単位でも対応できる現実的な解決策が重要になってくる。
無料でも試せるクラウドサービスが増えてきた。その日の朝になって「今日は出社しようか」と考える前に、そんな「新しい選択肢」を検討してみてはいかがだろう。1つでも取り入れることができれば、あなたのテレワーク環境は確実に改善できるはずだ。
一方で、十分な準備もできないまま、なし崩し的に突入した自宅での長期間のテレワークでは、知らない間に心身にも大きな負担を掛けている可能性が高い。家族や配偶者と長時間閉じた空間で顔を突き合わせることによる精神的なストレスや、職場の同僚や上司、部下の様子が分からないことからくる不安といった話もよく聞くようになった。
こうしたメンタル面の課題については、各人が置かれた状況によっても千差万別だろうが、体への負担を軽減したり、作業効率を上げるための快適な環境づくりなら、多くの人に共通の対処法がある。
最近では、在宅勤務を快適にするさまざまな便利グッズが発売されているので、これらを活用するのも手だ。
次回は、さまざまなオンライン会議システムを紹介していきます。
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