30代の壁、私はこう乗り越えた
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キャリア設計支援のパーソナル・トレーニングサービスを展開する、ポジウィル代表の金井芽衣さん。30代を前に起業すると、周囲から「女なのに起業?」という理不尽な視線を浴びたという。自分らしいキャリアを諦めないための、人生のパートナーの見つけ方とは?
父の言葉に涙した20代
「キャリアは後戻りできないよ。チャンスが目の前にやってきたなら、悔いが残らないよう全力で挑戦すればいいと思う」
27歳で起業後、初めての資金調達を考え始めたころ。少し不安だった背中を押してくれた、父の言葉だ。東京・新橋の街中で電話をかけ、将来について相談したときのことだった。まっすぐな応援が心強かったのを、今でも覚えている。「そうだよね、全力でやる!」。そう宣言しながら、涙があふれてくるのを止められなかった。誰に何と言われたって、事業のために人生を懸けることはもう、決めていたはずなのに。
「父はたぶん、私のことを『女の子だから、女性だから』という目では全く見ていなかったと思います。だからこそ、結婚や出産のことは持ち出さずに、対等なビジネスパーソンの一人として、『今はチャレンジすべきだよ』と助言してくれました。自分でもびっくりするくらい泣いてしまったのは、父のような言葉をかけてくれる人が、周囲にほとんどいなかったからかもしれません」
30代前後になると、スキルや経験値が蓄積されてきて、仕事の裁量が増えたり、やりがいを実感できるようになってきたりする。転職や独立などキャリアアップへの意欲も高まる。それなのに、多くの女性たちはいまだに、世間からのこんな視線を浴びなければならない。
「結婚は?」「出産は?」「女が仕事を頑張り『過ぎる』のは、どうなの?」
会社員時代から、30歳前後の先輩女性たちが「(結婚に)行き遅れてるね」などと同僚に揶揄(やゆ)される場面をしばしば目にしていた。「ネタにされるのが嫌」で、20代で結婚したいと考えていた時期もある。でもそのタイミングでは、最高のパートナーと思える相手は見つからなかった。「自分のペースでいいよね、と考えてはいました」と金井さん。しかし、起業というチャレンジに臨む中で、思いもよらない言葉の数々を浴びたという。
「起業するというだけで口々に『結婚できなくなるよ』『女として終わりだね』と言われたり、婚活の場などで男性から『社長はちょっと……』と露骨に距離を置かれたり。驚いたし、落ち込みました」