なぜ、わたしたちの転職はうまくいかないのか

人生目標が揺らいだ初めての転職
「頑張りたくて転職したのに、どうしてこんなに頑張れないんだろう――」。
新卒で入った上場企業から、初めての転職活動で外資系コンサルティングファーム・アクセンチュアへの入社が順調に決まり、キャリアアップへの期待に胸を膨らませていたのに……。順風満帆な人生から一転、転職直後に、仕事に対して意欲が持てない状況に悩み、人生の目的を見失いかけた。そう話すのは、2021年1月から、キャリア設計支援のパーソナル・トレーニングサービスを展開するスタートアップ・ポジウィルで未経験の広報業務に挑戦中の齋藤あいさん(27歳)。
志望する大学に入り、大学院で専攻していた分野の延長線上にあった「大手化学メーカーで研究開発をする」というキャリアパス実現のため、新卒で迷いなく業界最大手のタイヤメーカー・ブリヂストンに就職した齋藤さん。技術営業職として入社1年目から顧客対応や現場のセールスを支援する仕事を任され、学生時代から思い描いていた理想の社会人生活を送っていた。
「自社製品の良さを伝え、販売実績に貢献したい」と仕事への楽しさを感じていたにもかかわらず、なぜ入社3年目で、外資系コンサル業への転職に踏み切ったのか?
「就職して大手企業の本社で働き、平日夜は上司や同僚と仕事の愚痴を言い合いながらも楽しく飲み、週末は銀座で友達とおいしいものを食べたり、買い物をしたりして過ごす。そんな居心地がいい環境の中で、どこか満たされない自分にモヤモヤとしていました。
周囲の友達は、『休日も仕事をしているのが楽しくて仕方ない!』という人が多くて。そこまで仕事に打ち込めるのが、正直うらやましいと思いました。この先何十年も働き続けて、結婚や出産、その先のステップアップを考えたとき、この微妙に満たされない気持ちのまま人生を終えてしまっていいのだろうかと疑問を感じたんです」
そこで、自分に合った仕事や働き方のイメージを広げるため、齋藤さんは幅広い業種・世代の約20人にヒアリングを行った。それでも、さまざまな情報を得た上で、自ら希望して転職をかなえた2社目のアクセンチュアでは、まさか自分自身も想像していなかった「頑張れない壁」を経験。転職後半年で、再び転職をすることになった。
しっかりと準備をして挑んだにもかかわらず、最初の転職では何が足りなかったのか。過去の行動を振り返りながら、転職のミスマッチを防ぐ方法を探っていく。