「人生が劇的に変わった人」が実践したこと&やめたこと
楽譜を見ない奏法、「耳コピ」による即興演奏で話題を集めるピアニストYouTuber、ハラミちゃん。2019年から、ストリートピアノを演奏する動画をYouTubeで配信し、総再生回数は3億回超、チャンネル登録者数は約170万人(21年6月現在)。人気テレビ番組への出演も続き、21年5月には初のエッセー『好きのパワーは無限大』(KADOKAWA)を出版した彼女の転機について聞いた。

IT会社員時代の挫折
今でこそ、その指から生み出される彩り豊かな音色で、多くの人を魅了しているハラミちゃん。だが、一度は音楽の道を諦めた過去がある。音楽大学を卒業後、IT企業に企画職として就職。会社員としてのキャリアを積んでいた。
ある朝、「もう会社に行けない」と思った。頑張って、頑張って、上へ、上へ。限界を設けず、成長しようと努力し続けてきた結果の休職だった。
「4歳でピアノを始めて、7歳で音大を受験するためのテキストをピアノの先生に渡されたときから、ずっと音楽一筋の人生でした。期待してくれる周囲の気持ちに応えたいし、重ねた自分自身の努力も無駄にしたくない。一つの目標を見据えたら、『やり過ぎじゃない?』と言われたって止まらない。休まない。そうやって自分を追いつめてしまう癖が、会社員としてのキャリアでも、よくない形で表れてしまったと思います」
「挫折」であることは確かだ。部屋の中に引きこもって、寝転がって天井を見つめるだけの日々が何日も続いた。でもハラミちゃんは「人生初めてのお休み。この時期があったおかげで、今の私があります」と言い切る。自分の中のどのような部分と決別することで、新しいキャリアを切り開けたのだろうか。