「今の会社でできる」キャリア戦略
-
1今の会社で市場価値を上げる、キャリアの生存戦略とは
-
2希望の異動、転勤、昇進をかなえた3人の秘策を分析
-
3読者実践 評価に直結した面談の言葉、社内人脈の作り方
-
4アンドユー松田愛里 社内失業するも転職せず社内で起業
-
5上司のタイプ別 評価を下げる伝え方NG&OKワード
-
6いいメンターの見つけ方 メンター4分類と依頼や質問法←今回はココ
「本当に今の会社で働き続けるべき?」「キャリアアップと出産・育児のタイミング、どう考えたらいい?」…。悩みにぶつかったとき、頼りになるのがメンターの存在だ。法人向けに社外メンターのマッチングサービスなどを展開する「Mentor For」代表の池原真佐子さんに、メンターとの出会い方、関係づくりのコツについて聞いた。

「メンター」って何?
「メンター」という言葉自体はよく聞くが、「そもそもどういう存在?」「コーチングやキャリアカウンセリングとは違うの?」といった疑問を持つ人も多いのではないだろうか。池原さんによれば、メンターとは次のような存在だ。
人生の少し先を行く先輩。
人生やキャリアの悩みに対して、経験をもとに助言して導いてくれる人
「コーチングは、専門のスキルを持ったコーチによる対話の技法です。相談者の中にあるモヤモヤを言語化したり、相談者自身が自分の可能性を見いだしたりすることをサポートします。あくまで手助けをする存在で、『こうしたらどうか』といった助言は基本的にしません」
「キャリアカウンセリングには、転職エージェントが求人紹介の前提として実施するものも含め、さまざまな形態があります。こちらも多くの場合、課題を掘り下げた上で多様な選択肢を提示したり、助言をしたりするより、転職などを念頭に、必要に応じた情報を提供することが多いのではないでしょうか。自分自身が経験してきた失敗や成功、そしてそこから得た知恵をもとに、ときには改善点を指摘したり、助言をしたりして、その人らしいキャリアが描けるよう支援する役割を果たせるのが、メンターだと考えています」
ライフイベントに左右されやすい女性のキャリア
池原さん自身、これまでのキャリアでメンターに助けられた経験が何度もある。例えば、起業して間もなく妊娠したころのこと。臨月で夫の海外赴任が決まった。産後はワンオペで育児をしながら事業を続けようと考えていたが、クライアントを不安にさせたくないという思いから、妊娠について公表できずにいたという。
「そんなとき、妊娠を知っていたある知人から『自分の弱みをきちんと見せられるようにならないとパンクするよ。顧客を不安にさせないようにするにはこんな方法がある』と具体的に助言してもらいました。そのおかげで、困ったときは周囲に相談できる体制をあらかじめ整えられたんです。メンターは、メンティー(相談者)との信頼関係を前提に、ときには厳しい指摘もしてくれる存在です」
「出産するか、しないか」「安心して働き続けられるようにするには、どんな配偶者を選べばよいか」――。ジェンダーギャップの是正が道半ばの日本において、女性のキャリアは、ライフイベントによる影響を受けやすいのが現状だ。壁にぶつかって悩んだとき、「人生の先輩」であるメンターは心強い支えになる。