withコロナ時代の「新しい働き方」
仕事も生活もwithコロナが前提となった今、日本社会もかつてない変革を迫られている。コロナショックによる解雇や派遣切りといった厳しい話も聞こえてくる中、私たちは、どんな会社を選び、どのような働き方を目指せばいいのだろうか。経済ジャーナリスト・作家の渋谷和宏さんに、withコロナ時代を生き残る会社の見極め方、私たちがシフトすべき働き方について話を聞いた。
コロナショックにより低迷する業界
コロナショックによる経済危機の中、深刻なダメージを受けたのは、観光業、小売り業、イベント業、飲食業だ。人との接触や移動を伴うことで、売り上げを立ててきたこれらの業界では、まさに今、事業が存続できるかどうかの危機に直面している会社もある。それぞれの業界の今後について、渋谷さんは次のように予想する。
「まず、観光業において、インバウンド需要が戻ってくるのは2~3年後、どんなに早くても来年以降になるでしょう。これまで観光業全体の売り上げは、年間約25兆円、うちインバウンドがおよそ5兆円、国内居住者が約20兆円を占めていました。しばらく約5兆円のインバウンドが見込めないとすると、今後は、いかにして国内旅行の需要を引き出せるかが課題となります。消費者の潜在ニーズに応えられるかが、観光業界の生き残りを左右するでしょう」
観光業の低迷に伴い、交通インフラ業界も大きな打撃を受けている。特に全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)といった大手航空会社は、一時期、海外の就航便がゼロになるなど、厳しい状況に追い込まれた。現在は、国内の就航が約3~4割回復したと伝えられているが、売り上げは前年の2~3割程度しか見込めない状況だ。
同じく交通インフラであるJRなども、緊急事態宣言中は新幹線の乗車率がほぼゼロになったこともあり、首都圏の通勤電車の利用客も3~4割に激減。コロナ禍の前と同様の利用者数が戻るのは早くても来年以降になるだろうと渋谷さんはいう。
「主要インフラである航空、電鉄の中には、既に緊急融資を受けている企業が出てきています。しばらくは耐えるしかない状況が続くでしょう。経営体力があり、インフラということで融資が下りやすい航空、電鉄大手が経営破綻に追い込まれることはないでしょうが、賃金カットやリストラは避けられないかもしれません。実際に、これらの業界では夏の賞与が約1割ダウンしており、下期も落ち込む可能性はあると思います」