withコロナ時代の「新しい働き方」
多くの組織にワーク・ライフ・バランスに関するコンサルティングを提供している、ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんを講師に迎え、コロナ禍の働き方に関する課題に直面した3人の悩みを解決するための具体的なノウハウをたくさん教えてもらいました。2人目の相談者は、入社10年目の経理・総務を担当する社員です。
【小室さんへの相談者】(相談者はすべて仮名)
久住香里さん(23歳)2019年5月に米国の大学を卒業後、現地で就職。その後、帰国し、2020年4月、コロナ禍中にコンサルティングファームへ入社した新入社員
山野すみれさん(35歳)2010年12月からビルメンテナンス会社で経理・総務担当として勤務 ←2人目の相談者
澤田 涼さん(42歳)2002年4月から大手家電メーカーに勤務。10人強のメンバーを率いるマネジャー
【山野さんの悩み】
私は経理・総務担当の入社10年目社員です。コロナ禍で在宅勤務を行いたかったのですが、秘匿性の高い情報を取り扱う職種だという理由で、在宅勤務を認めてもらえず、今に至ります。会社にデータのクラウド化を認めてもらえない
山野さん(以下、山野) データをクラウド化すれば、在宅でできる仕事の範囲も広がるのだと思いますが、クラウド化のコストが月数十万円かかる見込みで、会社の上層部が費用対効果を認めてくれません。「今まで何とかなったのだから、これからもこのまま何とかしようよ」という会社側のスタンスに納得できません。
クラウド化の費用を必要経費として会社に認めてもらいたいですし、働き方改革の一環としても、今後必要となるリモートワークを進めてもらうためには、いかに上層部に働きかけていけばよいのか、伺いたいです。
「今までのやり方でも大丈夫だよね」をどう変えるか
小室さん(以下、小室) 上層部への働きかけは本当に大事ですから、ぜひ頑張ってプレゼンをしましょう! プレゼンの重要なポイントをお話しします。
これはどの企業にも言えることなのですが、経営層には「今何とかなっているから、何とかこのままいってほしい。私の任期はあと3年だから、今をしのぎたい」という気持ちがあり、「この先10年、20年を見据えた投資をする」という発想が弱い場合が少なくないです。
でも、経営者の多くには、「自分の任期中だけうまくいってくれればよい」という「小物」的な発想もありながら、「会社を今後100年通用する会社にしたい」という立派な志も持ち合わせているもの。後者の方向にどう働きかけるかがカギとなります。その際、現状のままでは将来の経営が立ちゆかなくなる現実をきちんと伝える必要があります。これが「危機感からのアプローチ」です。別の「お得なアプローチ」というのも後でご紹介しますね。