withコロナ時代の「新しい働き方」
多くの組織にワーク・ライフ・バランスに関するコンサルティングを提供している、ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんを講師に迎え、コロナ禍の働き方に関する課題に直面した3人の悩みを解決するための具体的なノウハウをたくさん教えてもらいました。3人目の相談者は、入社18年目のチームマネジャーです。
【小室さんへの相談者】(相談者はすべて仮名)
久住香里さん(23歳)2019年5月に米国の大学を卒業後、現地で就職。その後、帰国し、2020年4月、コロナ禍中にコンサルティングファームへ入社した新入社員
山野すみれさん(35歳)2010年12月からビルメンテナンス会社で経理・総務担当として勤務
澤田 涼さん(42歳)2002年4月から大手家電メーカーに勤務。10人強のメンバーを率いるマネジャー ←3人目の相談者
【澤田さんの悩み】
在宅勤務になって以降、日中は会議で潰れてしまい、自分一人で行う作業は深夜・早朝に対応しなくてはならなくなってしまいました。メンバー10人以上のチームを率いるリーダーの立場であり、メンバーの管理や育成もミッションの1つなのですが、リモートワークだとなかなか全員をケアできません。多くて1日10本のミーティングに追われる
澤田さん(以下、澤田) 私は大手家電メーカーの商品部の、ある事業の販売責任者をしています。私自身、4月に異動したばかりで部署に慣れていないこともあり、毎日朝10時から18時まで、多い日には10本ぐらいミーティングが入っています。
普段、出社していれば、周りの席のメンバーに声を掛けて、それぞれ2~3分ぐらいで終わりそうな内容でも、リモートワークになってからはすべて会議として時間を取るようになってしまって。大人数が参加する会議が多く、若手を個別にフォローすることができません。
また、若手に仕事をアサインすると、あさっての方向の成果物が出てくることもよくあります。「指示を出したときは分かったと言っていたのに、理解できていなかったのかな」とやり直しを依頼するので、それでまた時間を食ってしまって。そういった悪循環になりかけています。
会議が多いのには理由もあります。メーカーなのでライン業務が基本である、かつ、いろいろな部署を動かす司令塔の立場なので、会話によるコミュニケーションが必須です。横の部署の調整、上位者へのリポートなどがあります。ワーク・ライフ・バランスを取るにはこの会社を離れるしかないのかなというところまで思いが至っていて、正解が見当たらず、少し悩んでいる状態です。
小室さん(以下、小室) そうした転職は私も応援します。働き方を変えている企業は今いっぱいあるので、やり方を変えたほうの企業に行ってみると、それだけで時間を有効に活用できるようになるというのは事実としてあります。
でも、きっとこの会社に新卒で入られたんですよね。
澤田 はい、新卒で入って、今18年目になります。
小室 ということは、会社に対する「愛」もあるわけですよね?