withコロナ時代の「新しい働き方」
新型コロナウイルスの感染拡大によって生まれたニューノーマルに、新たな手法を取り入れ、柔軟に対応している企業があります。今回は、発想の転換でピンチをチャンスに変えた企業の取り組みを紹介します。
顧客と現場の声から生まれた、オンライン接客サービス
【CASE1】アパレル商社(ジオン商事)
今年4~5月の緊急事態宣言により、小売業・アパレル業などが厳しい環境に置かれる中、ジオン商事では顧客の声に応えた「オンライン接客サービス」をはじめ、スタッフ間の交流や接客の質向上を狙ったオンライン研修など今できる活動に集中し、チーム一丸となって変化に対応してきた。
コロナ禍を機に不定期でオンライン商談会を行っているのは、同社のアパレルブランド「DRESSLAVE(以下、ドレスレイブ)」。ジオン商事ドレスレイブ本部担当の渡邉咲弥さんは、「『オンライン商談会』は、顧客向けプレセール期間に合わせて5月21日からの2週間、LINEのビデオ通話を利用して行ったところ大きな反響がありました」と話す。渡邉さんはオンライン商談会を担当するほか、オンラインストアやSNS運用を中心に多岐にわたる業務を担当。商談会でLINEを活用したのには理由があるという。
「ドレスレイブは以前からお客様に喜んでいただくための参加型イベントを企画するなど新しい取り組みにチャレンジする文化があり、顧客とスタッフとの距離が近いのが特長です。コロナ禍以前からお客様とLINEアカウントの交換をしているスタッフが何人かいました。外出自粛期間中に皆さんがどのように過ごしているか、メッセージをやりとりしていると、『買い物をしたいけれど、洋服は実際に着てみないと分からないし、オンラインストアで買うのは不安。話をしながら納得して買いたい』という声が多く寄せられたんです」
そこで全店舗休業中の4月初旬から、Zoomを活用したオンライン接客を試験的に開始した。
「好意的な反応が多い一方で、慣れないツールでお客様とうまくつながることができなかったり、途中で音声が途切れてしまったりという接続トラブルが何件か起こりました。『つながらないから(オンラインで洋服を買うのを)やめる』というケースもあったため、5月のオンライン商談会では、お客様が普段使い慣れているLINEのビデオ通話に変更。事前に1週間の募集期間で行ったところ予約数が123件となり、反響の大きさに驚きました」
次のページからは、外出自粛期間に伴う在宅勤務中に、現場のアイデアで実現したというオンライン接客サービスの導入の経緯と反響、メリット・デメリットについて紹介していく。