60歳過ぎても働く そのために今からできること
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「人生100年時代」とはいうものの、20~30代のdoors世代にとってはあまりに先の未来で、解像度高く考えるのはなかなか難しいもの。弁当・社食を提供する「アホウドリ」代表の大石真理子さんは30代ながら、東日本大震災と専業主婦の経験がきっかけで「将来のキャリアを意識するようになった」と話します。女性の雇用機会創出にも力を入れている大石さんに、60歳を過ぎても働くために、意識していることや考えていることなどを聞きました。
東日本大震災がきっかけで鬱状態に
弁当と社食を提供する「アホウドリ」代表の大石真理子さん(36)は大学を卒業後、新卒で大手広告制作会社に入社しました。営業担当として大手クライアントとのコミュニケーションや担当案件の制作管理などを担当し、面倒見のいい上司に囲まれて順調にキャリアを歩んでいたといいます。そんな中、入社3年目のときに、東日本大震災が発生しました。
「会社で働いていたときに地震が起きました。当時住んでいた自宅は徒歩では帰れない距離だったため帰宅困難者になり、終業時間後も会社にとどまりました。
私もほかの多くの人たちと同様に混乱し、ショックを受けていましたが、会社から被災者に対するお見舞いや応援のメッセージを入れた広告、いわゆる『お見舞い広告』の営業を取引先の企業にしてほしいという指示がありました。
言われた通りにクライアントへ電話をしていたら、その中の1社から、『大石さんは分からないかもしれないけれど、家族と連絡が取れず不安な人がたくさんいる。そんなときに私たちがやるべきことは広告を出すのではなく、被災している人のために行動することだ』と言われました。
その言葉が心に刺さりました。確かに、その通りだと思ったんです。しかし、当時24歳だった私は会社の指示に意見を言える立場ではありませんでした」
「このスタンスのまま、この仕事を続けていいのだろうか……」そんな葛藤を抱えたまま働いていた大石さんは次第に心身ともにバランスを崩し、震災から半年がたった頃には鬱状態に陥りました。