アイデアを生む&思考整理につながる ノート&手帳術
モヤモヤとした思考を整理し、大切なことを見極めるのに役立つノート術。職場環境や働き方の変化で、さまざまな思いをため込みがちな今だからこそ、「書く作業」を見直してみては。アートの専門知識を持つ異色の経営コンサルタント・村井瑞枝さんが、図に書き出し発想を広げながら考えをまとめるノウハウを紹介。さらに、生まれたアイデアを必要な相手に的確に伝えるアプローチ法を聞きました。

仕事の効率化はもちろん、転機の見極めにも効果的
1万枚以上のプレゼン資料を作成し、戦略的に実績を残してきた経営コンサルタントの村井さん。調理師免許の取得後に入学した米国ブラウン大学ではアートを専攻。卒業後は異色の経歴を生かし、JPモルガンやボストン・コンサルティング・グループといった外資系コンサル企業などで、図表を活用したプレゼンスキルや専門性を生かしながらキャリアアップしてきました。
独自のスタイルを貫きながら、軽やかに転身してきたかのように見える村井さんですが、「転職や独立・起業など人生の節目には、自分の重要視しているものや行動することで得るもの、不安要素などを書き出し、さまざまな視点から思考を掘り下げることで納得のいく答えを見つけることができました」というように、未来の生き方を左右する大切な場面にも図を使った思考法を幅広く活用しています。
図で考えることで、具体的にどのような良い影響があるのでしょうか。
「図に書き出して整理をしていくと、余計な情報がそぎ落とされ、物事の本質が捉えられます。物事や行動につながりを加えて、思考を立体的にする面でも便利。半ば強制的に視野が広がるので、自分が無意識に抱いている思い込みから解放されることも大きなメリットです。何が足らなくて、何がポイントなのかがはっきり分かるようになるので、すっきりとシンプルに、より効率的に考えることができます」
「1日に何枚も図を書くコンサルタントでも、資料を作る時にはまず手書きで考えます。手を自由に動かすことで、考えをより深めてくれたり、豊かな発想が生まれたりするからです。資料作りでパソコンを使うのはある程度構想ができた後の最終工程。最初はパワーポイントやワードといったソフトウエアを使わず、考えを深めるプロセス段階では手書きが一番効率的です」
図で考えることは、伝えたい相手との相互理解にもつながると村井さん。
「会議や打ち合わせなど、対面で人と話す時にメモを取るという作業でも、手書きは非常に役立ちます。文字情報だけでなく、図も絡めることでよりコミュニケーションがうまく取れ、自分が考えたり整理したりしたことを的確に伝えることができます。図を書くのに、絵やデザインで必要なセンスは要りません。図解メモの基本的なパターンを参考にしながら、たくさん数をこなしていきましょう」
次のページから、初心者にお勧めの図解メモのパターンや、より効果的に「伝える」テクニックを紹介していきます。
