なぜかキャリア、結婚につまずくなら…見直したい母との関係
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「この選択をしたら、母は何と言うだろうか」――。生き方や働き方を考えるとき、親の価値観に縛られてしまう人は少なくない。キャリアに特化したコーチング・サービスを展開するポジウィル社員、岡千尋さんもそうだった。自分らしい一歩を踏み出すためにはどうしたらいいのか。自身の経験と、同社のカウンセラー・トレーナーとして、多くのビジネスパーソンの相談に乗る中で気付いたことを語ってもらった。

「いい学校に進学して、いい企業に入りなさい」
20代前半までの岡さんの人生観を支えてきたのは、幼いころから折に触れて母に言い聞かされた、こんな言葉だった。
「できるだけ、いい学校に進学してね。パパみたいな有名企業に入って、そこで早めにいい人をつかまえて、結婚しなさい。でもママみたいな専業主婦にはなったら駄目」
音楽やダンスといった芸術分野に関心が高く、学生時代にはプロを目指すことも考えたという岡さん。「いい学校やいい企業に入ったからといって、それが自分の幸せにつながるとは限らないんじゃない?」――そんなふうに反発した時期もあった。
でも、母の理想を聞き入れなかったからといって、うまくいくことが保障されるわけではない。自分の意思を貫いて失敗するのは怖かった。だから、最終的には「人生でいろいろ経験してきた母が言うのだから……」と受け入れるようになっていったという。
「母の語るような人生を目指すのが『何だかんだいって一番安全そう』という感覚を持つ人は、周囲の同世代でも多かったんです。どんな道をたどれば幸せになれるかなんて、確かに分からない。ただ少なくとも、幸せになれる確率は高そう。当時の私はそんなふうに感じていました」
母にとっての「いい子」でいたかった
そもそも「いい子でいなければならない」という感覚が人並み以上に強かったという。そこにも幼少期の経験が影響している。父親の仕事の都合で、生まれてしばらくは海外を転々とする生活をしていた岡さん。帰国後に通った日本の幼稚園や小学校では、生来の活発な性格も相まって、周囲になかなかなじめなかった。
「そんなとき、母から『出る杭は打たれるよ』とアドバイスされました。先生や友達の顔色をよく見ること、自分の意見を通すよりも周囲と協調することが大切だと教わりました。今振り返ると、私があまりにも自由奔放だったので、心配してくれたのだと思います。だけど、その教えが私の中でいつしか『世間や周囲の期待に応えなければ私の居場所はない』という極端な考えにつながってしまいました。『いい学校に入っていい企業に……』という母の理想を受け入れたのも、母にとっての『いい子』でいたかったからかもしれません」