2019年の締めくくりに 『人生を変える1冊』
年末年始に読んでおきたい「お薦めの本」を紹介する特集。第6回は、「レンタルなんもしない人」のサービスに従事するあの人。彼が選んだ「人生を変えた1冊」とは?
いつでも持ち歩く愛読書
「なんもしない人(ぼく)を貸し出します。1万円と、国分寺駅からの交通費と諸経費だけ(かかれば)お支払いいただきます。飲み食いと、ごくかんたんなうけこたえ以外、なんもできかねます(一部編集)」という自己紹介文で「レンタルなんもしない人」というTwitterアカウントを設けて独自のサービスを展開している森本祥司さん(以後、レンタルさん)。アカウントのフォロワー数は24万人を超えています。
Twitterを見る限り、「メンズメークのモデル」「片付けの見守り」「怪談の聞き役」「地下アイドルの自撮りの付き添い」など、ありとあらゆる依頼が舞い込み、多忙そうなレンタルさんに「人生を変えた1冊について取材させてほしい」とDMを送信。取材は「なんもしない」わけにはいかないので、対応してもらえるのか? 返事をもらえるかドキドキしながら待っていたところ、「ご依頼ありがとうございます。OKです」という返事がその日のうちに返ってきました。人生を変えた1冊についての1時間の取材が、「ごくかんたんなうけこたえ」の範囲に入っていてよかったと安堵するとともに、本好きであることが分かりました。
取材当日「人生を変えた1冊は?」と尋ねると、リュックの中からごそごそと1冊の黄色い文庫本を取り出したレンタルさん。それは『ツァラトゥストラかく語りき』。意外にも、フリードリヒ・W・ニーチェが残した哲学書でした。
