2018年度の文化庁調査によると全国16歳以上男女のうち「1カ月に1冊も本を読まない」人は47.3%。一方で「もっと読書したい」と思う人は60.4%も! ビジネスパーソン、政治家など、旬な人から「人生を変えた1冊」を教えてもらいます。
2019年の締めくくりに 『人生を変える1冊』
2019年の締めくくりに 『人生を変える1冊』
年末年始に読んでおきたい「お薦めの本」を紹介する特集。今回は、日経doors編集部員がdoors世代の頃に読み、人生が変わったという一冊を紹介します。
20代、駆け出しエディターの頃に出会った
日経doors編集長・羽生祥子の人生を変えた本は、
『情報の歴史』
(監修/松岡正剛、構成/編集工学研究所、NTT出版)
事実というのは、ある一つの確固たるものとしてそこにデン、と居座っていて、それを客観的に正しく描写することが「情報」で、その情報を理路整然と並べるひとびとが「編集者」だ、という考え方が一瞬で破壊された一冊。私はこの本と、編集工学研究所で駆け出しエディターとして働いていた頃に出合った。
ふつう、歴史といえば日本史と世界史という二分類の別軸があって、大抵の場合は教科書も別冊になっている。そして各年表には、政治・経済・科学・文化などとカテゴリーが毅然と存在していて、その箱の中に分類されながら歴史が紹介されてゆく。そんな既成の軸やカテゴリー分類が、この『情報の歴史』では一切出てこない。西洋も東洋も、経済も技術も、ソフトもハードも、繁栄も失望も、すべてが松岡正剛という知のモンスターによって編み直される。