2020年は「doors世代起業家」の時代
試してみたいアイデアはある。でも、起業してうまくいくのかどうか不安――。その狭間で立ち止まって、次のアクションを起こせない人は多いのではないだろうか。ここでは日経doors世代の先輩起業家であるビザスク代表の端羽英子さん、タスカジ代表の和田幸子さんに取材。2人ともMBAを取得しているけれど、実際に起業してみると、会社員時代の思考から抜け出すのに苦労したという。つまずかない起業に必要なマインドセットを、二人の実戦経験から学ぶ。
私たちが起業を選んだ理由
端羽さんは30代前半のとき、さまざまな分野の知見や経験を持つビジネスパーソンと、それを求める人をつなぐ「スポットコンサル」の事業を立ち上げた。起業という選択肢は、学生時代に就職活動をしていた頃から意識していたという。
「将来子どもを産むことを考えるなら、初めから『両立しやすい仕事』に就こうというムードが当時はまだ強かったんです。でも、私はそういうキャリアは歩みたくなかった。初めの入社先を外資系投資銀行にしたのは、出産までの20代でしっかりスキルを身に付けられる環境が魅力だったから。その経験を土台にして、ゆくゆく独立するのもいいなと考えていました」(端羽さん)
家事代行サービス「タスカジ」を起業した和田幸子さんも、新卒で富士通に入社する以前から起業を意識していたそう。
「元々は『起業なんて危ないもの』『借金で首が回らなくなるのでは』なんて偏見がありました(笑)。でも大学生のとき、勤め先を早期退職して起業した人のキャリアが書かれた本を読んだんです。会社員経験を生かした起業なら理にかなっていると感じて、ロールモデルとして意識したのはそこから。実は幼少期から、電子工作でおもちゃを作るなど小さな『発明』にチャレンジするのが好きだったので、ゼロからイチを生み出す仕事は自分に向いているのでは、という思いもありました」(和田さん)
起業は失敗の連続
「失敗しない起業」をテーマに取材へ向かった編集部だったが、二人が口をそろえるのは「起業は日々失敗の連続」だということ。与えられた仕事を着実にこなせることが評価される傾向にある会社員とは、この点一つ取ってもマインドが異なる。会社員の世界から起業家の世界に飛び込んだ二人の経験をもとに、起業家の思考法を学んでいこう。