英語は必要? 「決算を読む習慣」のほうが大切
決算を活用する方法の一部を紹介しましたが、業種や職種、目的によって、決算をどう役立てるのかは違ってきます。しかし決算を読み、そこから企業の戦略を読み取る力は、どんな職業やどんな業務にも生かせる、一生もののビジネススキルだと思います。
現代のような国際化社会では、「英語」を話せないとダメだという意見も多くあります。ただ個人的には、決算を読む習慣は、英語を習得するよりも実利があると思います。なぜなら、日本で働いている方の場合、日々の仕事で英語がどうしても必要なシチュエーションは、それほど多くないと思うからです。一方、「数字」は万国共通。あらゆるビジネスで使われるものなので、業種や職種の違いを超えて、すぐに実務で使えるスキルだといえます。
そして、これは私の感覚値ですが、もともと日本人は数字に強いはずなのに、「数字を知識に変換するスキル」を持つ人が、非常に少ないと感じます。だからこそ一歩踏み出して、既に持っている数字を読む力に、少しだけコツをプラスしてみませんか? 「数字を知識に変換するスキル」を身に付ければ、仕事での新たな可能性が開けてくると思います。
もちろん、決算を「作る」ことは専門知識がないとできません。しかし決算を「読む」ことは、コツさえ学べば誰でもできるようになります。家計簿を読むような軽い気持ちで、決算を読んでみましょう。
後編では、コミュニケーションアプリでおなじみの会社「LINE」の決算を読みながら、「転職」を検討するときに押さえておきたいポイントをお伝えします。
*後編に続きます。12月21日に公開予定です。
聞き手・文/青野梢 写真/PIXTA 図版/LINE
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