通好みの香りは「夏の夜の夢」をイメージ
反対に上級者向けには、通好みの香りを。イルプロフーモの「ライザンダー」がそれです。この名前を聞いたら、シェイクスピアの「夏の夜の夢」が浮かんでくるでしょう。そう、まさにあの戯曲に登場するライザンダーをモチーフにした香り。いたずら好きの妖精・パックに翻弄されてカップルたちが右往左往する喜劇のように、その構成は複雑です。
ニッチなパフューマリーであるこのイルプロフーモ。革新的な香りを作り出すことで知られているクリエイターのシルヴァナ・カソーリが手がけています。その知る人ぞ知るといった希少性は、こだわりのある男性をきっと虜にするはず。パッケージ、容器どこをとってもイタリアを彷彿(ほうふつ)させるようにデザインされていて、あらゆるところに細やかな気遣いを感じられます。
ウォーターミントとジュニパーベリー、ベチバーが織りなす新作の香りの世界は、爽やかなのにどこかセンシュアル。「自然をボトルに」というブランドコンセプトがあり、まさに夏の夜の森の中にいるそんな気分にさせてくれるはずです。
香水のほかアフターシェーブアイテムも
そして、最後にご紹介するのはバーバリーの「ミスターバーバリー オードパルファム」です。こちらは賦香率(ふこうりつ)の高いオードパルファムなので、真夏にはちょっと重いかもしれませんが、1本持っておくと便利な香水。というのも、トレンチコートを題材にした香りでして、男性らしいセクシーさを体現できるから。
トップノートは珍しいタラゴン。そこにスパイシーなシナモンがやって来ます。これだけで、他とは一線を画すことが分かるはず。マスキュリンな人にぜひまとってほしいものです。調香師は今をときめくフランシス・クルジャン。そしてバーバリーのクリエイティブディレクターのクリストファー・ベイリーがコラボして作りあげました。天才二人の協業です。

香水はまだ苦手という方には、同シリーズでのアフターシェーブのスクラブ洗顔や、化粧水、バームをラインナップしているのでそちらでもいいかも。ヒゲをたくわえている男性専用のオイル、という変わり種アイテムまであるんです。これなら季節を問わずに、贈ることができますね。
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このように男性に香水を贈る場合は、相手をよく見極め、その好みやステイタス、そしてバックボーンのストーリーまでもが重要です。相手のことをよく考えて贈る、まさに基本の心遣いですが、それが如実に表れるのが香水なんですね。しかし、あまり堅苦しく考えず、楽しみながら探してみてください。
文/藤村岳 イメージ写真/PIXTA