どんなに小さくても、手応えを感じることをしよう
会社が存続しているということは、その会社の事業が社会に求められてきたからだということは前に何度か述べました。だからこそ、あなたが会社員として事業に携わることで、社会に影響を与えられるのです。
でも、一個人の会社員としては、自分の仕事が社会に影響を与えているのか手応えを感じたいと思うでしょう。何をもって自分は社会に影響を与えていると言えばいいのか、わからないという人も多いと思います。
建設業界では、よく「地図に残る仕事」という表現を使うそうです。自分が建設に携わったビルや橋、道路などが地図に残るということです。これと同様に、自分がこの仕事をしたから、次の世代にこういうものを残せたということを口に出して言える。それが社会に影響を与えているという一つの目安になるのではないでしょうか。
例えば、小さな貿易会社に勤める人が、「外国産のこういう雑貨を、自分が初めて輸入した」というのもそうです。あるいはハウスメーカーに勤める人が、「今までになかったこういう工法をとり入れたおかげで、家の洗面所の造りが変わった」というのもいいでしょう。もっと小さなことだと、自分の会社が作っている食材で新しいメニューを開発した―そんなことも社会に影響を与えていると表現できます。
人から見たらどんなに小さなことでも、「こんな新しい現象を生み出している」と表現できることをやっていれば、あなた自身が必ず手応えを感じるでしょうし、周りも絶対にそんな姿勢を見ています。
あなた自身が仕事で何かを残したという体験は、どういうものでしょうか。自社の事業に風穴を開けたというのもいいかもしれません。何か新しい風を外からとり入れたとか、これまでになかった発想で、異業界の企業との協業を実現させたとか。
今まで日本の企業は、何かの仕事を外注するという際に、自社よりも小さな企業に下請けに出すという発想が主流でした。いわば﹁仕事を下に落とす﹂というイメージです。でも今の時代は、企業の大小に拘かかわらず、ときには企業だけでなく個人に対しても、互いの強みをきちんと把握して、足りないものを補完し合うことで新しいビジネスを生み出すようになっています。つまり「上とも下とも横とも組んで、一緒に仕事を創っていく」という「共創社会」のイメージが浸透してきました。
要は、新しいビジネスを始めようというとき、もし社内に足りないものがあるなら、会社員としてはどんどん社外で見つけて社内に提案していく。そうすることで、新しいビジネスマッチング、新しい価値を創っていけるというわけです。
<次回に続きます>
文/成田真理 写真/PIXTA
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『会社を辞めないという選択―会社員として戦略的に生きていく』

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