見下されるなんて耐えられない
本作の主人公・シャシは、英語ができないだけで母の尊厳を奪われるほど見下されるのですが、見ていて他人事とは思えないものを感じます。例えるなら、仕事のできない後輩が外国人と楽しく英語で会話をしているときに感じる、なんとも言えない劣等感、敗北感のような……。
ストーリーの展開上、多少は大げさに表現されているところもありますが、夫の軽薄で憎らしい発言もあって、英語くらい今すぐ身に付けて見返してやりたいと強く思わせてくれるのです。
しかしそれにしてもインド人男性のネガティブキャンペーンでも実施しているのかと思うほど、夫の発言は腹が立つのですが、クライマックスで何もかも払拭してくれるパンチ力のあるシーンでスッキリさせてくれるのでご安心ください。
また、本作の素晴らしいところは、単に英語を勉強する主婦を見せるだけではなく、女性として、母としての自信と尊厳を取り戻していく様子が見事に描かれているところ。いつまでも美しくありたいと思う女性の心も満たし、英語にとどまらず何かを学ぶことの楽しさと苦しさ、そして充実感と達成感を作品を通して体験することができる。
インド映画といえば歌って踊るイメージが強く、セリフや演技よりも多くのことを一度に伝えられる演出法は本作でも健在。インド映画好きの方ももちろん楽しめます。ただし、本作では歌って踊りたくなるのは見ている私たちのほうかもしれません。
きっと英語に向き合うハードルが下がり、さらには仕事やプライベートにももっと英語を取り入れて、視野をさらに広くしていきたいと思うことでしょう。2018年も半分が過ぎましたが、残り半分は英語に注力していきませんか?
それではまた。映画カタリストのゆうせいでした。
『マダム・イン・ニューヨーク』

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配給:彩プロ
発売・販売元:アミューズソフトエンタテインメント
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文/永井勇成