ご自宅訪問! グルーピングと収納のヒントに注目しました
さて、ぜひとも山口さんのご自宅を見せていただきたいとお願いし、うかがってきました。
ご自宅は都内にありながら閑静な一角に立つ低層マンション。メゾネット形式で1層当たりのスペースはそれほど広くはないものの、すっきりと美しく開放的です。
IHクッキングヒーターとシンクがL字形に配置されたキッチンには「ゴミ箱を置くスペースもなかった」そうなのです。でもよく見るとシンクの隣に、分別式のゴミ箱と引き出し収納が。シンクの奥行きと高さのサイズ、そして色がぴったりなので一体化して見えています。間に合わせのものを買わずに、時間をかけてそろえたとのこと。さすがです。
宅配の荷物が届くと、ここの引き出し収納の中から受け取り用の印鑑を取り出して、玄関で受け取り。受け取った荷物と共に戻ってきたら、引き出しからハサミを取り出して開封。包装紙や梱包材などは、その場でゴミ箱に分別して捨ててしまいます。終わったら使ったものを元に戻して完了。動線に基づいたグルーピングの好例です。
他にもグルーピングの例はあちこちに。冷蔵庫の中には、味噌やだしをカゴに収納した「味噌汁セット」。キッチン上の収納には、お弁当を作るときすぐ取り出せるように弁当箱関係のグッズをまとめています。シンク下の深い引き出しには、ごちゃつきがちなキッチンツールが「切る」「混ぜる」など目的別にまとまっていて一目瞭然。初めての人にキッチン作業をお願いしても、迷うことはなさそうです。掃除用の洗剤やスポンジも1カ所にまとめて、すぐに取り掛かりやすくグルーピングされていました。
「余計な収納用品はなるべく買わない」というポリシーもあちこちに。玄関の靴収納スペースは、部分的に奥行きが深くなっている不規則な形状。靴が縦に2足入るものの、奥になった靴は取り出しにくいのです。そこで山口さんは奥行きに合わせた板に取っ手を付けてその上に靴を並べています。取っ手を持って引き出せば奥の靴も楽に取り出せます。
また、お気に入りなのが厚手の紙袋を使った収納や仕切り。例えば冷蔵庫の大きな引き出し式の野菜室は、いろいろな大きさの野菜が取り出すたびゴチャゴチャになりがちですが、野菜室の真ん中に紙袋を置くだけで3つに仕切れます。わざわざ収納グッズを買う必要はなく、紙なのでサイズが合わなければハサミで切って合わせられます。同じサイズの紙袋をいくつか使って整理すれば見た目もすっきりです。
クローゼットでは、季節外れの衣類などは使わないキャリーバッグなどに入れて高い位置に収納。これも収納家具や収納用品を増やさない工夫ですね。
まずは気になっているところ、小さな部分から、始めてみましょう。
文/大崎百紀、日経ウーマンオンライン編集部 写真/都築雅人

家事代行サービス「カジタク」所属。整理収納アドバイザー1級。住宅収納スペシャリスト。「ライフオーガナイザー2級」「整理収納ベーシックコーチ」「ファイナンシャルプランナー2級」などの資格を持つ。「カジタク」所属の4年強で担当した案件は750件ほど。
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