東京ミッドタウン(東京・港区)で、11月30日(金)と12月1日(土)に開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2018 Winter」。多彩なテーマでお届けしたセッションの中から、12月1日(土)に実施した「仕事も妊活もパワーアップ! 働く女性が知っておきたいカラダのこと、大切なこと『ヘルシー・マザリング・プロジェクト』連動セミナー&トークショー」の模様をリポート! 今回は、「産科婦人科舘出張(さんかふじんかたてでばり)佐藤病院」の院長・佐藤雄一医師が登壇した「基調講演」の様子をお届けします。
赤ちゃんを産むために知っておきたい大切なこと

「仕事でもやりがいを感じながら、いつかお母さんにもなりたい」と思う女性に、食や栄養、生活、妊活の知恵などを伝えていく「ヘルシー・マザリング・プロジェクト」。
日経BP総研が、パートナーと共に2018年10月からスタートした本プロジェクトと、「WOMAN EXPO TOKYO 2018 Winter」の連動企画として、このセミナー&トークショーが実現しました。
セミナーには、産婦人科医の佐藤雄一さんが登場。会場に訪れた女性たちのために、「いつか赤ちゃんを産むために知っておきたい大切なこと」を教えてくれました。
働く女性を悩ませる「月経トラブル」が増加中
まず女性は、「一生を通じて女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受け、1カ月の中でもさまざまな体調変化が起こる」と、佐藤医師。
「月経時には腹痛や腰痛が起こり、排卵後には黄体ホルモンの影響で、むくみや腹部膨満感、イライラや憂鬱といった症状が出る人も多いと思います。つまり女性は、1カ月のうちで調子がいい時期は1週間ほど。ホルモンの変化によって、社会生活にも影響が出ている人が多くなっています」(佐藤医師)
最近では、月経に関連する疾病が増加傾向にあるそうで、生理痛がひどくて仕事に行けなくなったり、日常生活に支障をきたしたりする「月経困難症」の女性が増えているといいます。
また、働く女性の約80%が、月経の3~10日前からつづく「月経前症候群」(PMS)を自覚していて、イライラや落ち込み、眠気、だるさなどの精神的・身体的症状に悩んでいるんだそう。
その他、子宮にコブのような良性の腫瘍ができる「子宮筋腫」や、子宮内膜に似た組織が、子宮内膜以外の場所で増殖する「子宮内膜症」になる女性も増加傾向にあるんだとか。
「30代後半くらいになると、通常は月経量が減ってくるのですが、反対に月経量が多くなってくるなどの症状があれば、子宮筋腫が原因かもしれません。
妊娠前に子宮筋腫があると、筋腫の大きさによっては手術をするなどの治療が必要になってくるため、妊娠を望む方は定期的に婦人科で検査をして、早期発見・治療をすることが大切です。
また子宮内膜症は、月経痛や腰痛がひどくなる他、不妊の原因にもなる病気です。20代の人にも増えている病気なので、こちらも早期発見・早期治療が必要です」(佐藤医師)
月経トラブルには「低用量ピル」という選択肢も
では、なぜ働く女性の間で月経トラブルが増えてきているのでしょうか。佐藤医師によると、現代女性は初経が早く、出産回数も減っているため、昔と比べて月経の回数が多いんだそう。
「昔は生涯で5~6回 妊娠・出産していたため、生理はトータルで50回ほどでした。しかし現代女性の場合は、妊娠・出産回数が1~2回に減り、反対に生理の回数が450~500回に増えているので、その分月経に関するトラブルも増えてきているようです」(佐藤医師)
また、月経困難症やPMSが仕事の生産性に与える影響は大きく、パフォーマンスの低下に悩んでいる女性は数多くいます。
「これらの症状とうまく付き合う方法として、婦人科で低用量のピルを処方してもらうのも一つの手。低用量のピルは排卵を抑制する薬で、月経痛やPMSの症状を和らげたり、子宮内膜症の予防や治療にも使われている薬です。
子どもをつくらない時期にピルで排卵を抑えておくことは、卵巣機能の温存にもつながると思いますので、月経トラブルで悩んでいる女性は病院で相談してみてください」(佐藤医師)