こんにちは。「女子による女子のための映画DVDガイド」の映画ライター・清水久美子です。
「本年度のアカデミー賞主演女優賞は、絶対にこの映画のブリー・ラーソンだな」と、映画「ルーム」を観た時に思いました。そして、その通りになりました。この予想は決して難しくなく、本作を観た人はみんなそう思ったのではないでしょうか。
7年間も監禁され、その間に息子を出産。とても恐ろしい出来事が描かれているにもかかわらず、息子を守る母親の愛の深さと、ヒロインが立ち向かう困難、そして彼女の強さに心を打ち抜かれ、観た後には感動しか残らないという傑作です。
主人公の複雑な心情を秀逸に演じ切ったブリー・ラーソン。オスカーにふさわしい彼女の名演技を堪能できる映画「ルーム」を紹介します。

(C) ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015
配給:ギャガ
公式サイト:http://gaga.ne.jp/room/
ママ(ブリー・ラーソン)とジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)が二人で暮らす部屋。そこは天窓が一つあるだけの、とても狭いところです。今日はジャックの5歳の誕生日。ママはケーキを焼いてくれますが、ロウソクがないことにジャックはガッカリします。
夜になると、ジャックは洋服ダンスの中に入って眠ります。時々、オールド・ニック(ショーン・ブリジャース)という男が部屋を訪ねて来るのですが、ママはジャックを彼に近づけたくないのです。彼はママが頼んだ服や食料を置いていきますが、十分ではなく、「ジャックにもっと栄養を」と抗議すると、オールド・ニックは逆上し、部屋の電力を切ってしまいます。
寒さに震える中、ママはついに決心します。生まれてから一歩も外へ出たことがなく、この部屋が全世界だと信じているジャックに、真実を話すのです。ママの名前はジョイで、この納屋に閉じ込められて7年になり、外には本物の広い世界がある。そう聞いたジャックは、訳が分からず大混乱に陥ります。
外の世界に興味を持ち始めるジャック。そんな息子に勇気を得たママは、ジャックを外に出す計画を立て始めます。いつも読み聞かせていた『モンテ・クリスト伯』をヒントに、ジャックに死んだフリをさせ、オールド・ニックに外に運び出させる計画です。ジャックをカーペットにくるんで、何度も段取りを練習させるママ。その時、オールド・ニックの足音が近づいてきます……。
本作の物語、そしてヒロインの試練は、ここから始まると言っても過言ではありません。全く予想できない展開に引き込まれ、これまでに味わったことのないような映画体験が待ち受けています。
とても悲しいことに、監禁事件は、世界中で、そして日本でも後を絶ちません。この記事を執筆している今も、少女が監禁部屋から脱出したというニュースが報道されています。
本作のPRで来日したブリー・ラーソンは、「ルーム」の内容を「実際に私達の人生でも起こりえること」とコメント。彼女がジャック役のジェイコブ・トレンブレイ君と一緒に登壇した記者会見を取材してきましたので、レポートをお届けします。