落ちこんでいるときに元気がもらえたり、新しい視点が得られたり……ときには、人生が変わるほどの大きな力を持つ「本」。広告代理店のクリエイティブプロデューサーとして数多くの「人の心を動かす言葉」を生み出してきたひきたよしあきさんによる『あなたを変える「魔法の本棚」』連載では、読むたびに自分の個性や知性が磨かれ、人生が前向きに変わっていくことを実感できる“特別な一冊”を厳選して紹介していきます。

「されど“服”で人生は変わる」(齋藤薫著 講談社)
美容ジャーナリスト・齋藤薫さんのエッセイを昔から好んで読んでいます。男であり、いい齢のオッサンである私に女性向けの美容もファッションも役立つものではありません。
しかし、彼女のエッセイをよく読むと性別も年齢も超えて響くところがあるのです。
それは彼女のメッセージが、日々の生活に疲れ、老いの宿命に肩を落とし、複雑な人間関係に立ちすくんでいる人たちに対し、「服」という極めて日常的なアイテムを通して、再び行動するための「きっかけ」をたくさん用意してくれているからです。
例えば失恋したとき。
齋藤薫さんは、「失恋前よりもワンランク上の靴を買うこと」と言っています。
失恋の傷や妬みといった負の感情を残さずに、「すくっと清々しく立ち上がる」ために靴を買う。
それも一足ではただの一張羅に見える。失恋を忘れるための衝動買いのように感じてしまう。だからワンランク上の靴を二足買うべきだと提唱しています。