◆フラットサンダル、コンフォートシューズ


フラットサンダルをリッチな雰囲気で履きこなすのが、今の操り方。ありきたりのビーチサンダル風ではなく、リュクス気分の街中リゾート風に迎え入れたい。曲線で構成したストラップにゴールドのチェーンを施したディテールは、夏のイヴニングイベントにもふさわしい。愛らしいフォルムのバレエシューズにも、ウィットや遊びを加えていくと、イマドキ感が出せる。シースルーの演出やロックの雰囲気なども足し込んでいきたい。ヌードカラーのレース素材に、星形スタッズをあしらったデザインはやさしげトーンときらめきビターが適度にミックスされている。


両サイドを深くカットしたエスパドリーユは、そこから素肌がのぞいて、ヌーディーな脚景色に仕上がる。ラテホワイトのチュールレース越しにも肌が透ける。力みを遠ざける「エフォートレス」のロングトレンドを映す見え具合だ。ロープ状の刺繍がアッパー全面に施され、上品なフェミニンを薫らせた。意外感の高いトリッキーな仕掛けがおしゃれの新演出として急浮上してきた。見た目を裏切るような、遊び心を秘めた素材使いもその一例。デニム風のレザー・エスパドリーユは実はスエード仕立て。表面にエンボス加工を施し、デニムライクな仕上がり。素朴な質感のジュート麻と、青ライン入りスニーカーソールのコンビネーションも目新しい。
「ジミー チュウ」のクリエイティブ・ディレクターであるサンドラ・チョイ氏は2016年春夏コレクションで米国カリフォルニアの空から着想を得た。西海岸特有の開放的で伸びやかな空気感がカラフルな色やポジティブなディテールに写し取られている。春からのおしゃれは、冬場の主役だったアウターに代わって、靴の存在感が一段と大きくなる。だから、これまでよりおしゃれ発信力が高めのシューズをキーアイテムに抜擢してこの春夏の着こなしをアップデート。軽やかな足取りで春をスタートしよう。
文/宮田理江