ALEXANDER WANG(アレキサンダー ワン)
デザイナー自身の持ち味や原点を確かめるかのようなアプローチも目に付いた。NYきってのトレンドセッターである「ALEXANDER WANG(アレキサンダー ワン)」はヒップホップ音楽に代表されるNY流ブラックカルチャーに目を向けた。もともとNYのストリートに思い入れの深いデザイナーはショー発表の会場もアフリカ系が多く住むハーレム地区に定め、黒主体のスタイリングを試みた。主役に位置づけたのは、黒革のウエア。スタッズ(金属びょう)やチェーンもクールな印象を強めていた。
盛り上がりの続く、本来の寸法より一回り以上も大きい「オーバーサイズ」をプッシュ。メンズ風のコートやストリート風味のプルオーバーなどで量感を操った。デニムジャケット、メッシュトップス、黒タイツなどもパンクロックを思い起こさせる、反骨的な気分を漂わせる。首輪のようなアクセサリー、レオパード柄のレッグウエアも主張が強め。アジア出身のデザイナーは多様性のシンボルとも呼べるNYへの愛をランウェイに注ぎ込んだ。
(画像協力)
ALEXANDER WANG ⇒ http://www.alexanderwang.com/jp
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多様性と強さをフェミニンにアレンジ
NYの魅力と言えるクロスカルチャーが装いの奥行きを深くした。1日のうちにいくつもの顔と役割を使い分ける現代女性にふさわしい「マルチキャラクター」も着姿にリアリティーを与えている。程よく主張やセクシーさを宿したスタイリングはおしゃれの選択肢を一段と広げてみせた。2017-18年秋冬のおしゃれは、多様性と強さをフェミニンにアレンジして、自分らしい着こなしを楽しめそうだ。
文/宮田理江