衛生面が重要な病院で実践してきたそうじ術を教える松本忠男さん。「ダニやカビ、細菌、ウイルスなどを取り除けていないと、インフルエンザやアレルギー悪化の一因になることも」と語る松本さんに、部屋別のそうじ術を聞きました。
徹底した衛生管理が必要な病院。松本忠男さんは、利用者満足度が高いことで知られる亀田総合病院での清掃指導経験を生かし、そうじ術を教えている。「健康を守るためのそうじは、汚れを落とすことよりも、アレルギーや感染症の原因となるダニ、カビ、細菌、ウイルス、花粉を取り除くことに重点を置く」と松本さんは語る。
覚えておきたいのは、ホコリ対策だ。「ダニ、カビ、細菌は、ホコリを餌に繁殖するが、現代の住宅は密閉性が高く、すき間風が通らないので、ホコリがたまりやすい」と松本さん。
そこで、そうじの際は、窓を閉め切って、ホコリが舞わないようにする。「フロアワイパーもバサバサ動かすと、ホコリが舞い、吸い込んでしまう」(松本さん)。また、上から下へホコリを落としていくのもポイントだ。そのうえで、カビや細菌がたまる場所を攻める。
では、最低限毎日どんなそうじを行えばいいのか。松本さんによれば、必要なのは1日たった12分。左図を参考に行おう。「ダニ、カビ、細菌などを100%除去するのは不可能。それらと共生しながらも、人が一番健康でいられる環境を整えると考えて」(松本さん)。
松本式そうじ術の3原則
1. そうじは上から下へ
棚→床など、そうじは高い場所から始めると、上から下に落ちたホコリもしっかり除ける。
2. 窓は閉め切って、風を起こさない
窓を開けてそうじを行うと、ホコリが舞い上がり、吸い込んでしまう。これでは本末転倒。
3. “病原体”が潜むポイントを攻める
ホコリがたまりやすい場所や、カビが発生しやすい場所を中心に、効率よく汚れを除去。
1日12分 ここだけそうじすればOK!
忙しくて、長時間そうじしているヒマがない!そんな人は、このポイントだけ押さえていれば大丈夫。1日12分間のそうじで、“病原体”を寄せつけない部屋に。

亀田総合病院の清掃管理者として約10年間、現場のマネジメントに従事。現在は、医療関連サービスのトータルマネジメントを行う「プラナ」代表として、現場で得たノウハウを医療、介護施設などに提供。また、清掃に関するテレビ番組や記事の監修も行う。
取材・文/浦上泰栄 写真/吉澤咲子 イラスト/みやしたゆみ
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