調子がいいだけの同僚にイラッとしたり、仕事を丸投げしてくる上司にムッとしたり。世の中、腹の立つことは多いけれど、キレるたびに自己嫌悪に陥るのは、心と体に百害あって一利なし。これが正しい対処法!
還働く女性のキレる毎日
怒りの裏に○○あり
読者アンケートによると、働く女性の3割以上が「1日に1回以上イライラ」を経験。やり場のない気持ちに振り回され、簡単に怒ってしまう自分に落ち込むこともあるようだ。しかし、「怒りは自然な感情のひとつ。怒りを感じるのは決して悪いことではありません」と言うのは日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実さん。「自分の怒りをきちんと理解するために意識したいのは、怒りの裏にある感情。不安、苦しい、寂しいなどの感情が心の中のコップにたまりすぎて、怒りとなってあふれている場合が多いのです」。
さらに、怒りには「相手が身近な人であるほど強く感じる」など独特の性質があるという。「そのメカニズムと取り扱い方を知れば、怒りは発奮材料となり、モチベーションにもなります。うまくコントロールして自分の感情と付き合いましょう」。
怒りには4つの性質がある
1. 高いところから低いところへ流れる
怒りは立場が上の人から下の人へ、発言力の強い人から弱い人へ流れやすく、後輩や子供などに向けられやすい。自分が怒りの連鎖を生んでいないか注意しよう。
2. 感情はほかの人に伝染しやすい
怒りのような強いエネルギーを持つ感情は周囲に伝染しやすい。舌打ちやこれ見よがしのため息など、イライラしている人がいたら距離を置いて冷静さをキープ。
3. 身近な対象ほど強くなる
家族や恋人など身近な相手には「言わなくても分かるはず」と思いがち。期待通りに動かないと怒りが強くなりやすい。身近な相手にこそ言葉で伝えることが大切。
4. 行動を起こすモチベーションになる
悔しい思いをしたときの怒りのエネルギーは「今に見ていなさいよ」と奮起するきっかけにもなる。誰かを憎むより、プラスのエネルギーにベクトルを向けよう。

アドット・コミュニケーション 代表取締役
日本アンガーマネジメント協会の理事として講師を務めるほか、伝わるコミュニケーションをテーマに企業研修や講演を実施。年間受講者数は5000人以上。近著は『アンガーマネジメント怒らない伝え方』(かんき出版)。
構成・取材・文/中城邦子
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